仕事で「ちゃんと」を求める人が陥りがちなワナ 100点を目指すより、20点目指すほうがいい
こうした場合には、「生煮えの状態」でもいいので、「多頻度・短サイクル」(短期間で回数を多くして)でコミュニケーションを取っておけば、「同じ成果物を見ながら」お互いのギャップを認識し、軌道修正をかけていくことができるのです。
上司側にも責任があります。完成度よりも短サイクルでのレポートを奨励する雰囲気を醸成しておくこと。これは職場コミュニケーションの基本でもあります。
「堀りかけのトンネル」を作っていないか?
仮想的に、どこかにトンネルを掘ることを考えてみましょう。大がかりな工事ではなくて、たとえば山の中で生活しなければならなくなって裏山に数メートルぐらいの簡単な穴をあける程度のものと思ってください。
大きく2つのアプローチがあるでしょう。1つ目は、まず小さな穴でもいいから格好を気にせずにどこかを開通させてしまうというものです。この場合には、はじめにあけた穴を通してまずは活用がはじまり、徐々にその穴が広がって活用度が上がり、いつの間にかトンネルができあがります。
2つ目は、「完璧な精度で」部分的に掘りはじめるということです。この場合、時間がなかったり、途中で予算が変わったりという理由で、「トンネルが最後まで完成せずに途中で放置されてしまう」という可能性が高くなります。
もちろんここでの「トンネル」は単なる譬えで、何等かの仕事と置き換えて考えてもらえばよいでしょう。
考えてみると、私たちの身のまわりには「掘りかけのトンネル」があちらこちらに見られます。たとえば、「道具から入って」長続きしなかった語学の教材や健康器具などがあります。これらは、「やるなら完璧にやろう」と思ってスタートし、結局は「トンネルが開通しなかった」わかりやすい例ではないでしょうか。
また、大きな組織では、個々人の担当する領域が明確に分かれているために、自分の担当分はきれいに掘って仕上げているが、他人の担当領域は知らんぷりで、結果としてトンネル全体が開通せずに終わってしまうことがあります。こうした例は枚挙にいとまがありません。
「100点をねらって結果として0点になる」のか、「まず20点でもよいから全体を「開通」させて、そこから精度を上げていく」のか。その違いがおわかりでしょうか。
この考え方は最近の言葉でいえば、「思考のプロトタイピング」というものです。VUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)の時代と言われる現在、20点を目指して試行錯誤を繰り返すプロトタイピング(試作)の考え方は、ますます役に立つ場面が増えています。
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