朝のネガティブな気持ちがなくなるルーティン 朝はルーティンワークが冴える「神時間」

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さらに、翌日にも同じことをすれば、リズムは持続することになります。毎日のルーティンが生み出すひとつひとつのリズムが合わされば、そこには大きなグルーヴ(うねり)が生まれ、それは1日の活力になります。そして「きょうもまた、同じことをした」という”無意識の充実感”は、規模は小さいかもしれないけれども、間違いなく活力になっていくのです。

でも、なぜルーティンと午前中は相性がいいのでしょうか?

まず注目すべきは、起きたばかりの時間帯の脳の状態です。端的にいえば、朝にルーティンをおこなうことで脳を目覚めさせれば、そこから続く1日の仕事に大きな好影響が生まれるのです。

そして、そのことに関連して無視できないのは、毎日のルーティンをおこなうことによって得られる「規則正しい生活を送っている」という充実感です。これは、決してバカにできることではありません。

たとえば、かつての僕は「午前2時に寝られれば早いほう」という夜型の生活を送っており、それなりに充実しているような気になっていました。それが単なる勘違いだったと気づいたのは、朝型に切り替え、朝のルーティンをこなす習慣がついてからのこと。朝型にしてみた結果、早く起きて毎日決まった同じことをすると、純粋に気持ちがよく前向きになれるということがわかったのです。

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ですから、ブレインコーチとして活躍するジム・クウィック氏が書いた『LIMITLESS 超加速学習人生を変える「学び方」の授業』の中に、以下のような記述を発見したときにも大きく共感できたのでした。

「なぜ朝のルーティンが大事なのだろう? 一連の簡単な行動で脳を目覚めさせ、1日をトップギアで始めることには計り知れないメリットがあると、僕は確信している。1日の早い時間に勝利のルーティンを作れたら、世界的指導者のトニー・ロビンズが言う『勢いの科学』の恩恵も受けられる。一度コマが回りだしたら、静止状態から始めるよりはるかに少ない労力で達成し続けられるという考え方だ」

ここからもわかるように、「規律正しい朝のルーティン」はとてもよい影響を与えてくれるのです。長きにわたって自堕落な生活を送ってきたからこそ、なおさらそう感じます。

「いやいや、午前中は頭がボーっとしちゃうんで、スッキリなんかするはずないです」というご意見もあるかもしれませんが、それは朝のルーティンを習慣化することで確実にクリアできます。実際にやってみれば、それは比較的短期間で実感できるはず。騙されたつもりで、ぜひとも一度試してみてください。
 

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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