「壁全面張り替え請求」原状回復トラブル悪質実態 「特約」にハウスクリーニングを入れている例も

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ほかにも、国民生活センターに寄せられた、最近のトラブル事例として、次のようなものがある。

【事例1】
10年以上住んだ賃貸アパートを退去したらクロスの張り替えなど高額な原状回復費を請求された。全額支払う必要があるのか。
【事例2】
6カ月居住した賃貸アパートを退去した。玄関の壁紙のわずかな傷で全面の張り替え費用を請求され不満だ。

これらの事例を見て、筆者はまだ同じトラブルがあるのだと驚いたわけだ。10年も住めばクロスが損傷するのは当然のこと。たとえ借主が住んでいるときに、誤って付けてしまったキズがあったとしても、全面の張り替えまで負担する必要はない。

国土交通省のガイドラインでは、クロスのキズを負担する場合でも、その範囲はキズのある壁一面だけでよく、見栄えをよくするために全面張り替えるのは、次の入居者に向けたグレードアップに当たるとしている。

なぜ貸主が負担する分まで借主に請求されるのかというと、賃貸物件の管理を預かる不動産会社は貸主に継続して管理を委託してもらいたいので、自社に委託すれば貸主の負担が軽減されると見せたいからだろう。

筆者の場合、退職するので借り上げ社宅の契約ができなくなったのだが、このまま個人の契約として住み続けられないかと不動産会社に相談したところ、新たな契約になるので初期費用が発生すると言われた。それなら、引っ越ししようということになったのだが、後で大家さんに、費用負担なしでそのまま住み続けてもらってもよかったのに……と言われた。大家さんの意向ではなかったのだ。

実は契約時、入居時の対応で原状回復費用は減らせる

実はトラブルの原因はほかにもある。次の事例を見てほしい。

【事例3】
20年以上住んだマンションを退去した際、入居時から付いていたキズについて「最近付いたものだ」として修繕費用を請求された。
【事例4】
敷金礼金不要のアパートを退去した際にシャワーヘッドの交換費用を請求され、入居時から不具合があったと伝えたが証拠がないと言われた。

これらの事例のように、いつだれが損傷させたかわからないという場合も、トラブルになりがちだ。入居時の状況がわかる記録を残しておけば、元からあった損傷だと主張できる。そのためには、入居時に壁や床の汚れやキズ、設備や給排水の状況などを確認して、記録しておくことだ。

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