「壁全面張り替え請求」原状回復トラブル悪質実態 「特約」にハウスクリーニングを入れている例も

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原状回復トラブルは、賃貸住宅に関する消費生活相談のうち約4割を占めるといいます(写真:ELUTAS/PIXTA)

古い話で恐縮だが、筆者がまだ若くて初めて賃貸住宅に住んでいたころのことだ。そのときは、勤務先の借り上げ社宅扱いにしてもらっていたが、転職したために退去することになった。退去時に、入居の斡旋と賃貸管理を行う不動産会社の人が立ち会い、室内の状況確認をした。

当時筆者はオートバイに乗っていて、ヘルメットの塗料がわずかばかり壁紙に付着していた。それを見つけた不動産会社は、「原状回復の義務があり、一面だけ壁紙を張り替えると違和感があるので、部屋全体の壁紙を張り替えるので、その費用を請求する」と言い出した。

なぜこんな古い話を持ち出したかというと、まだ同じような状況が続いているのかと驚いたからだ。

国民生活センターが原状回復トラブルに注意喚起

国民生活センターでは、「住み始める時から、『いつか出ていく時』に備えておこう!-賃貸住宅の『原状回復』トラブルにご注意-」と注意喚起している。2月から4月にかけて相談が増えるという原状回復トラブルは、賃貸住宅に関する消費生活相談のうち約4割を占める。どんなトラブルが多いのだろう。

国民生活センターの報告書によると、「想定よりも高額な請求を受けた」、「普通に生活していた中で付いた汚れやキズの修繕費用を請求された」、「入居前からあったキズなのに修繕費用を請求された」といったものが多く寄せられているという。原状回復に関する請求内容や請求額に納得ができないので、相談窓口にたどり着いたということだろう。

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