プーチン激怒?ロシア軍と傭兵会社「内輪揉め」 傭兵会社トップが軍幹部をボロカスに言う理由
ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループのトップが2月21日、ロシアの国防相と参謀総長は反逆罪を犯しているという批判を展開し、ウクライナ侵攻開始以降、とくに耳目を集めてきた論争に拍車をかけた。
補給を止められたとブチ切れ
ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジンは軍上層部を批判する音声メッセージをソーシャルメディアに繰り返し投稿。その口調は激しさを増しており、「参謀総長と国防相」はワグネルの戦闘員に対し弾薬や物資の供給を止め、ワグネルを崩壊させようとしている、これは「反逆罪とみなせる」行為だと批判した。
「軍と関連した大勢の当局者は、国のことも、国民のことも、すべて自分たちで決めていいと判断したようだ」。プリゴジンは21日、自身のプレスサービスで公開した音声メッセージで、ののしり言葉を連発しながらこう述べた。「やつらは、自分たちに都合がよく、自分たちの好きなときに、国民を死なせることができると考えている」
ロシア国防省は、プリゴジンの主張を否定。プリゴジン氏が戦争遂行を妨害していると間接的に非難することで、対立をさらにあおった。
21日夜に公開した声明で国防省は、ワグネルに対し「有志急襲隊」という婉曲的な呼称を使いつつ、ここ最近供給した弾薬の量と掩護射撃の回数を一覧で示した。
「ロシアの部隊間の緊密な協力と支援の構造に亀裂を生じさせようとする言動は非生産的であり、敵を利するだけだ」と国防省は主張した。
われこそが軍のリーダー
プリゴジン氏の辛辣な批判からは、ウクライナでの戦争が2年目に突入する中、ロシア軍の上層部でリソースをめぐる激しい競争が生じていることがはっきりと読み取れると、ロシアの独立系メディア「メドゥーサ」の軍事アナリスト、ドミトリー・クズネツは指摘する。そうした状況からは、戦争がロシア政治を変えつつある様子も読みとれるとのことだ。
「プリゴジンは、戦争という現在のロシア政治の主要論点において、軍の主流派に対抗する勢力の事実上のリーダーに自らを位置づけようとしている」とクズネツは言う。
サンクトペテルブルク出身のプリゴジンは長らく身をひそめながら事業を進めていた。ウラジーミル・プーチンがかつてサンクトペテルブルクで活動していたときに築いたコネを用いて、政府からケータリングや建設分野の契約を勝ち取ってきた。