プーチン激怒?ロシア軍と傭兵会社「内輪揉め」 傭兵会社トップが軍幹部をボロカスに言う理由
プリゴジンは、ロシアの国防相セルゲイ・ショイグと参謀総長ワレリー・ゲラシモフに対し、2人の氏名ではなく肩書に言及する形で、ワグネルへの補給を意図的に断っていると批判した。
プリゴジンはその数日前に、刑務所から新たに戦闘員をリクルートすることを国防省から禁じられたと語り、ワグネルを「弱体化」させてバフムトでの勝利を阻むもくろみだと主張していた。
ワグネルは昨年の夏以降、戦闘に参加すれば大統領の恩赦が得られるという条件で、何万人という受刑者をリクルートしてきた。こうした動きは、プリゴジンがプーチンに強い影響を与えられる立場にあることを示すものと思われてきた。
ところが、ここ最近の音声メッセージは、プーチンに対するプリゴジンの影響力が弱まってきている可能性を示唆するものだと語るアナリストもいる。
「やけくその行動だ」。政治学者のタチアナ・スタノバヤは20日、メッセージアプリのテレグラムにこのように書き込んだ。「プーチンに公然とアプローチすることで、軍司令部を政治的に脅そうとしている」
プーチンの顔に泥を塗る行為
プリゴジンは20日、上級大将セルゲイ・スロビキンがウクライナにおけるロシア軍事作戦の総司令官を務めていたときには弾薬不足の問題は起こらなかったと、スロビキンの名前を出して語った。総司令官は先月、スロビキンからゲラシモフに代わった。
プリゴジンの辛辣な音声メッセージは、公開されたタイミングも特筆すべきものだった。プーチンがモスクワで年次教書演説を行う直前だったからだ。プーチンは演説で、戦争は西側が仕掛けたものだという偽りの主張を展開しつつ、結束を呼びかけた。
スタノバヤは、ワグネルと国防省の対立が表面化している事態をプーチンは快く思っていない可能性が高いと言う。部下による服従と部下の間の協調を統治の基礎に据えているのがプーチンだからだ。
「こうした衝突、この内輪もめ」がプーチンを「激怒させていると、ほぼ100%の確信を持って言える」とスタノバヤは述べている。
それでも、プリゴジンが引き下がる気配はみられない。プリゴジンは、自身の批判に対する国防省の反応は「民間軍事会社ワグネルに向かって唾を吐くようなもので、ワグネルの戦闘員に対する(国防省の)犯罪を隠す試みだ」と述べている。
(執筆:Anatoly Kurmanaev記者)
(C)2023 The New York Times
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