V6三宅健の退所に見る「40代でアイドル」の真価 "職人集団"と言わしめたアイドルが築いたもの
ファンを喜ばせることに徹底的――その姿勢には、“あの人”の存在を感じざるえない。
三宅は故・ジャニー喜多川のことを「お客さんを楽しませる、ファンの人たちを喜ばせるってことにとても執着してるのがジャニーさんだったので。そういう教えを10代の頃に教わった」と語っている(テレビ朝日『徹子の部屋』2021年8月25日放送)。
V6のデビュー当時は、コンサートを見に来たジャニー喜多川が、当日の曲目を半分くらい変えてしまうこともあったという。
仮に自分たちに負荷がかかっても、ファンを喜ばせることに尽力する――その姿勢は、ジャニー喜多川から学び、10代の頃から30年間、ジャニーズアイドルとして、三宅が貫いてきたものだ。それは40代になっても変わらなかった。
もちろん、ひたすらファンに媚びるという話ではない。圧倒的な技量があったうえでの話である。デビュー初期からアクロバットを披露していたV6の技量の高さは、誰もが認めるところだ。過去にジャニー喜多川はこう語っていた。
「ショービジネスの世界で生き抜くためには、多くのファンに好かれなければならない。歌や踊り、芝居もできるなんていうのは僕に言わせればタレントとして当たり前なんですよ」(『SPA!』1990年7月4日号)
ジャニーズタレントとして求められる厳しい基準。ジャニー喜多川の育てるアイドルとは、単にファンに好かれるだけではなく、技術があったうえでそれができる人のことを言う。そう考えると、三宅健の30年はそのジャニー喜多川の信念を体現してきたものだったと言っていいだろう。
自由を求める“野良犬”となった
そういえば、イカ天(『三宅裕司のいかすバンド天国』)をはじめとしたバンドブームだった頃、「野良犬になりたい」というようなバンドマンに触れ、ジャニー喜多川はこう語っていた。
「俺たちは野良犬になりたいってよく言うでしょう。自由になりたいって。(中略)僕はね、むしろ飼い犬のほうがしっかりとした価値観を持っているものだと思いますよ。飼い犬が自由を求めて野良犬になることは、本人が望みさえすればいつでもできる。飼い犬自体が自由だから野良犬にもなれるんです。だけど野良犬は絶対に飼い犬にはなれない。みんなその点を錯覚しているんですよ」(『SPA!』1990年7月4日号)
れっきとした“ジャニー喜多川が育てたアイドル”だった三宅健。氏の逝去やグループの解散を経てもアイドルを全うし、30年をかけてしっかりとその価値観を形成してきた。そしてついに“野良犬”へと変化することで、彼の真価がまた新たに広まっていくのかもしれない。
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