韓国で「同性愛者保護」への反対運動増えている訳 画期的な高裁判決でも差別禁止法案は停滞中

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昨年、この法案を成立させようという機運が高まり、初の公聴会が開かれるほどだった。しかし、議員たちは保守的なキリスト教徒たちの反対に直面し、採決には進まなかった。

韓国でレズビアンであることをカミングアウトした作家のキム・ギュジン氏は、法案の破綻はこの国の「後進性」の象徴と見なされる可能性があると述べた。キムさん夫婦は2019年に婚姻式を行った後、韓国では同性婚がまだ違法であるため、ニューヨークで婚姻届を出した。

法案が無期限で停滞する中、多くのゲイ、レズビアン、トランスジェンダーの韓国人は、法律が社会に追いつくのを待たず、自分らしく生きようと決意している。

より多くの人々が公にカミングアウトしたり、同性のカップルが結婚の儀式を行い、家族を招待することも増えている。韓国ドラマでは、より多くの同性愛者の俳優が出演している。ポップアイドルは、グローバルな舞台でLGBTQコミュニティへの支援を表明している。

父にカミングアウトした女子大生

ソウルの大学生チョン・ヘリンさん(22)は、数年前に自分がレズビアンであることを両親にカミングアウトした後、父親が慣れない世界を理解しようとトランスジェンダーのバーを訪れたという。

「父はまだ私の性的アイデンティティに完全に慣れているわけではない」とチョンさんは言う。「でも、あの時は、感情が高ぶっていたこともあり、父が話してくれた時は涙が出ました」。

2000年に始まったソウルのプライドフェスティバルは、コロナウイルスの大流行で2年間中断した後、2022年に1万人以上の人々を集めた。

ソウルで法案をめぐる運動を続けてきたイェ・ジョンジャンさん(28)は、「法案が成立しない中でも、性的少数者の平等と人権は重要な課題になっている」と話す。「韓国で最も重要な問題の1つとして浮上している」。

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