韓国で「同性愛者保護」への反対運動増えている訳 画期的な高裁判決でも差別禁止法案は停滞中

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ソウルの教会に通うイ・ヘギョンさんは、法案に反対する子どもの学校の保護者たちとチャットグループを作ったという。「聖書は、同性愛がいかに危険なものであるかを教えている。私たちには、同性愛の危険性について、人々や子どもたちに警告する責任があるのだ」。

ソウルのある小学校では、保護者会のメンバーであるキム・スビンさん(41)が、ゲイやトランスジェンダーの登場する本を学校図書館から撤去するよう要求している。この法案によって、自分のような人間が黙殺されることを心配したのだ。「もし法案が通れば、私はもうそのような本に反対することができなくなる」と彼女は話す。

教科書から消える「性的少数者」という言葉

ここ数カ月、こうした運動家たちは、教室でゲイやトランスジェンダーの生徒を保護する条例を打ち壊すことも提案してきた。これを受けて、教育省は昨年12月、2024年以降に発行される公立学校の教科書・教材には、「ジェンダー平等」「性的少数者」「リプロダクティブ・ライツ」という言葉は出てこないと発表している。

2021年のギャラップ世論調査で、韓国人の約23%が自らをキリスト教信者だと答えているが、この数字はここ数十年で減少している。教会は会員数の減少に直面しており、法案との闘いは新たな会員を獲得するための1つの方法である。

ソウル郊外にあるキム・サンさん(32)は、牧師がYouTubeで法案を批判したのを見て、その教会に移ったのだという。今では2歳の子どもと一緒に法案に反対する集会に参加しているという。

「法案によって、教会や私の信仰生活が制限されるかもしれない」とキムさんは言う。「親になってから、自分の子どもが生きる世界がどんな価値観を持っているのかに興味を持つようになりました」。

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