フジテレビが27時間テレビをここで復活させる訳 テレビ局が仕掛ける「生放送の長時間番組」の裏側

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2月16日に配信した拙稿「テレビ局から有力社員が次々いなくなる深刻事情」でも解説したように、アナウンサーや有名プロデューサーの退職が相次ぎ「魅力が失われてきた」とされるテレビ局だが、「ここぞ」という局面には力を発揮するだけの潜在力は、まだ失われていないだろう。

とくにフジテレビは、日テレから独立して以降各局で番組を作ってきた私から見れば、「潜在的なパワー」を現在もいちばん持っているテレビ局である。

多くのフジテレビ社員と話をしていると、「ウチなんてずっと数字悪くってダメっすよ!」と口にするものの、そこに“深刻な暗さ”はないのだ。

どこか楽観的で前向きなキャラクターの社員が多い印象である。

日本テレビの「生真面目でミスは許されない雰囲気」と比べると、フジには「ネアカな潜在パワー」を感じるのだ。

現状はそれがうまく“ギア”が入っていない感じだが、何らかのキッカケですべての歯車が合致すれば、おそらく日本テレビやテレビ朝日を一気に抜き去るだろう。あくまで私個人の感想だが。

今年の「27時間テレビ」は、そのギアを入れるための1つの試みと考えればいいのではないだろうか。

並大抵のことではないからこそ、やる価値がある

長時間の生放送を作り上げるのは、並大抵のことではない。

生放送の「27時間テレビ」となれば、7年ぶりのことで、かつてのノウハウを知る人間も減っているだろう。

だが、改めて作り上げればいいのだ。作っていくうちに「求心力」もできていくのではないか。

フジテレビと番組制作チームは、視聴率を過剰に気にすることなく(それが極めて難しいことも熟知しているのだが)、今年だけでなく来年以降もフジテレビが一丸となる指標を作り上げてほしい。

フジテレビだけではない。テレビ局には果敢に「求心力」となる番組を作ってほしいのだ。それがやがてテレビ局“内部”だけではなく、視聴者という“外部”への求心力に再び転じるのではないだろうか。

村上 和彦 TVプロデューサー、京都芸術大学客員教授

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むらかみ かずひこ / Kazuhiko Murakami

1965年生まれ、神奈川県出身。日本テレビ放送網に入社し、スポーツ局に所属。ジャイアンツ担当、野球中継、箱根駅伝などを担当する。その後制作局に移り、「スッキリ」「ヒルナンデス」「ブラックバラエティ」「24時間テレビ」など幅広いジャンルで実績を上げる。2014年、日本テレビを退社し、TVプロデュースの他、執筆、講演会など活動の場を広げている。現担当 : BSフジ「プライムオンラインTODAY」監修演出など。

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