フジテレビが27時間テレビをここで復活させる訳 テレビ局が仕掛ける「生放送の長時間番組」の裏側

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そして「24時間テレビ」ほどの大きな生放送となると、総合演出の下に「演出担当者」が4~5人つくのだ。

この「演出」の人間は、それぞれが自分でレギュラー番組の「総合演出」を担当している、いわば「一国一城の主」である。

日頃は自分の番組で、存分に采配を振るう人間が「24時間」では「総合演出」の下で手助けをして一緒に番組を作っていくのだ。

私自身20年ほど前に「24時間テレビ」では、「とんねるずの生ダラ!!」のプロデューサーが総合演出を務めた回に、演出担当として生中継パートの企画を担当していた。

ある年は「THE夜もヒッパレ」のプロデューサー、別の年は「伊東家の食卓」総合演出、また「笑ってコラえて!」の総合演出など、当時の日本テレビでヒット番組を作る人の下で、およそ半年にわたって彼らの「番組の作り方」をじっくり見ることができたのだ。

それぞれ独特の演出手法をもっていて、発想もそれぞれ違う。

タレントへの接し方、細部へのこだわり方など、その後マネをさせてもらうこともあったし、「この人の手法とは違うやり方をしないとコピーになる」などと自分の技量を磨くヒントをもらうことも数多くあった。

“生放送の巨大番組”は会社に活気を与える

そして私が「24時間テレビ」の総合演出を担当した際は、「行列のできる法律相談所」「世界一受けたい授業」などを担当する後輩が、演出担当としてサポートしてくれたのである。

さらに私は総合演出をやった後で、後輩が「24時間テレビ」の総合演出を担当した年には、演出担当として後輩の番組作りをサポートしたこともある。このような制作体制によって、日テレでは各番組の総合演出・プロデューサーは“同志”としての意識が固まってくるのだ。

日テレ以外の局では、ほかの番組の総合演出・プロデューサーは「ライバル」という雰囲気を感じることも多いが、「24時間テレビ」における総合演出・演出のチーム体制によって切磋琢磨されることで、日テレの番組制作力は確実にパワーアップしてきたと言えるだろう。

フジテレビの「27時間」もかつては「24時間」と同様の求心力があったはずだ。

“生放送の巨大番組”というのは、会社に活気を与える一大イベントなのだ。

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