スズキ「いつの間にか2位」に躍進した隠れた実力 強さが功を奏したか?他メーカーが弱すぎか?

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日産が後退した直接の理由は、国内で発売される新型車が大幅に減ったことにある。特に2011年から2019年までの9年間は、新型車の発売が1~2年に1車種しかなかった。

2008年の末に発生したリーマンショックによる世界的な景気の悪化で、新型車の開発を停止する動きが見られたからだ。もちろん、これは日産に限った話ではないが、他社よりも新車開発の停滞は顕著だった。

当時、日産の商品企画担当者は以下のように述べていた。

「日産にとって国内市場はホームグラウンドだが、経営的に特別扱いをしていない。現在と将来の市場規模をグローバルに捉え、客観的な判断に基づいて新型車を投入している。新型車の発売が1~2年に1車種と少ない理由は、日本がそれに見合う市場と判断されたからだ」

数少ない新型車として2012年に登場した2代目ノート(写真:日産自動車)

この後、カルロス・ゴーンが退任したあとは、日産の内部からも反省の声も聞かれるようになった。「今までの日産は国内市場を軽視して、取り扱う商品の基本設計も古くなり、売れ行きを下げた。今後は国内にも新型車を積極的に投入する」と……。

その言葉通り、2022年には「エクストレイル」や「セレナ」など複数の新型車が発売されたが、半導体などの部品供給の滞りから納車が順調にできていない。しかし、対策は講じているはずだから今後、浮上する可能性はあるだろう。

今や“新車の40%”となった軽自動車

スズキの国内販売が2位になった理由として、日産やホンダの不調のほかに“軽自動車の好調”が挙げられる。

軽自動車の売れ行きを振り返ると、1980年頃は、国内販売台数に占める軽自動車比率は約20%だった。それが1990年代に入ると、景気が悪化したことと軽自動車の商品力が上がってきたことによって軽自動車比率が増え始め、2000年には31%に達した。2010年は35%で、2013年以降は37~40%で推移している。2022年は、39%だった。

かつては「シビック」や「アコード」「オデッセイ」など、小型/普通車が中心だったホンダも、今は軽自動車が売れ筋だ。

”不動の1位”となっているN-BOX(写真:本田技研工業)

「N-BOX」が国内のベストセラーになり、今やこの1車種がホンダ車の36%を占める。「N-WGN」なども加えると、2022年に国内で販売されたホンダ車の実に53%が軽自動車だ。

このほか三菱も軽自動車比率が46%と高く、日産も39%に達する。その結果が、“新車のおよそ40%が軽自動車”という市況になったのだ。

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