子ども発達支援の企業が給付費「不正受給」の疑い 書類偽造で無資格職員配置か、パワハラ疑惑も

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総合療育センターつくばで取締役を務めていた鈴木氏が子どもたちに配ったビラ
2020年1月、総合療育センターつくばで取締役を務めていた鈴木氏が子どもたちに配ったビラ。Aさんを指名手配犯に見立てている(記者撮影、画像は一部加工)

総合療育センターの関係者は「鈴木さんがAさんにしていたことは、単なるいじめだった」と振り返る。2020年1月には行き過ぎたパワハラで、子どもも巻き込んだ騒動が起きた。

この日、つくば市内にある複数の事業所が共同で開催する教室にやってきた鈴木氏は「号外」と言いながら、20人ほどの子どもたちにビラを渡しはじめた。現場にいた元職員は話す。

「Aさんを指名手配犯に見立てたチラシを、教室に来た子どもに笑いながら配っていました」

職員からは「こんなことを子どもにしていいのか」との声も上がったが、鈴木氏に注意できる人はおらず、鈴木氏が教室を離れてからビラを回収したという。

「子どもたちの前でも鈴木氏は私を怒鳴るので、その乱暴な言い方を真似する子どももいました」とAさん。度重なるパワハラや嫌がらせ行為によって体調を崩したAさんは、2022年3月に退社した。

鈴木氏のパワハラ行為について、総合療育センターつくばは「指導の必要性が認められる状況が重なった際に、A氏(編集部注:原文では本名)に対して始末書を含む厳しい指導を行なったことはある」としたうえで、「詳細な事実確認、調査の結果、真実と認められる場合は鈴木氏に対し厳正な処分を行う」とした。

放課後デイで相次ぐ行政処分

急増する放課後デイでは、無資格職員の配置や事業所に通う子どもへの虐待行為などで行政処分を受ける事業所が増えている。2020年度には、事業所の指定取り消しや営業の一時停止などの行政処分は183件に上った。埼玉県富士見市にあるこどもプラスのフランチャイズ事業所でも2018年、書類の改ざんによる給付費の不正請求が発覚。埼玉県から不正受給額の返還請求と、指定取り消しの処分を受けた。

こどもプラスの複数の関係者によると、こどもプラス傘下の会社が直営する複数の事業所で、実務経験証明書の偽造や虚偽の人員配置が行われているという指摘がある。

今回、書類の偽造を告発したのはなぜか。Aさんは次のように話す。

「一部とはいえ、偽造に関与したのは確かなので、警察の捜査対象になることも覚悟しています。それでも、子どもたちが安心してサービスを受けられるようにするために、ずさんな事業所運営については明らかにしなければと思うようになりました」

虚偽の申請による無資格者の配置は、税金で賄われる給付費を不正に受給しているのみならず、本来子どもが受けられるはずの発達支援サービスが実施されていないことを意味する。たとえサービスの質に疑問を感じても、声を上げにくい子どもやその親の立場につけ込んだ不正行為だけに悪質性が高い。

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西岡 千史 ライター

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にしおか・ゆきふみ

1979年、高知県生まれ。早稲田大学第二文学部卒。「THE JOURNAL」「週刊朝日」「AERA dot.」編集部を経て、現在はフリーランス記者。

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井艸 恵美 東洋経済 記者

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いぐさ えみ / Emi Igusa

群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。

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