不動産業界は土地・建物に関するさまざまな業務を担う。
例えば不動産デベロッパー(開発業者)は保有する土地に、オフィスビルやマンションなど地域社会や住民のニーズに合わせた施設を開発して、賃貸ないしは売却する。
さらに築年数の経ったビルが増える中、そうした施設を取得し、リノベーションを施すことで、付加価値を高める不動産再生ビジネスも拡大している。
ほかにも土地や建物の売り手と買い手をつないで仲介手数料を稼ぐ不動産仲介や、建物の管理や運営を代行して管理手数料を得る不動産管理など、大手は多岐にわたるビジネスを展開する。
「カネ余り」が追い風に
近年は、世界的な金融緩和による「カネ余り」が業界の追い風となってきた。海外の機関投資家からの需要が高まるなど、日本の不動産取引は活況を呈している。
不動産デベロッパーも、低金利下で不動産の新規取得・開発を積極的に進めてきた。
長い期間を要する不動産開発には多額の資金が必要であり、金融機関からの借り入れなどでの調達が不可欠だ。
そのため低金利であるほど、借入金の支払利息が圧縮され、デベロッパーは利益を確保しやすくなる。盛んな需要は不動産価格を上昇させ、各社は新たな土地・建物の確保に苦戦する状況だ。
一方、今後は環境の変化が見込まれる。世界的なインフレ対策として主要国が金融引き締め姿勢に転じ、国内でも超金融緩和の修正が予想されている。
長期的には、少子高齢化が進むことで実際の不動産需要が減り、市場が縮小する懸念もある。
そのため各社は、データセンターや介護施設、研究所など、新規分野の開発で、展開領域の多様化を行っている。
海外企業や投資家からESG(環境・社会・企業統治)対応を求める声が高まる中、施設での再生可能エネルギー活用なども進んでいくだろう。
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