一口に人材サービスといっても業態は多様だ。求人企業と求職者の間を取り持つ人材派遣と人材紹介とでは、売り上げ、費用の内訳や利益率に差がある。
このほかにも就活サイトやフリーペーパーで展開される求人広告、採用・面接など人事関連業務を効率化するSaaS(クラウド型ソフト)、コンサルティングなどのビジネスがある。業界大手の多くはそれらを総合的に手がける。
どういった人材を扱うかももうけを左右する。例えば人材紹介では監査役、社外取締役といったエグゼクティブ層の紹介ニーズが増加。ESGの観点から女性役員を欲する企業も増えている。
手数料は年収の3割程度が相場だが、こうした高度人材では4割以上の紹介料を取るケースもざらだ。
一方で求人広告のビジネスは差別化しにくく、サイトの知名度向上には宣伝費の投下が不可欠。コロナ禍で最もあおりを食ったのもこの領域だ。
飲食店やサービス業の求人が落ち込んだほか、新卒採用でもリアル会場での合同説明会が行えなくなったことが痛手となった。
外出自粛が収まるにつれ、リアル・リモート併用型の合同説明会の開催事例が増加。運営企業は新たな生活・行動様式にフィットする稼ぎ方を模索している。
副業、学び直しが商機
一方、日本ではあらゆる業種・職種の人手不足が続くとみられ、人材企業にとっては追い風も吹く。
2022年半ばからは米国のIT企業における大規模なレイオフ(一時解雇)も取り沙汰されたが、今のところ日本に広くは波及していない。そもそも採用市場の裾野の広さに鑑みれば、IT関連の占める割合はわずか。
円安や原材料高に苦しむ企業が一時的に採用を絞る可能性はあるが、全体のパイが急減することは考えにくい。
さらなる伸びしろとして期待できるのは、副業やリスキリングといった領域。働き方の多様化の機運をどう商機に結び付けるかも競争力を左右する。
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