「BTSのRMもファンの脚本家」語る韓国映画の裏側 「別れる決心」手がけたチョン・ソギョンに聞く
――本作のシナリオ集が、韓国のベストセラーランキングで1位を獲得したと聞きました。これは韓国でよくある現象なのでしょうか? それとも韓国でもかなり珍しいケースだったのでしょうか?
私は(パク・チャヌク監督の)『お嬢さん』以降、脚本集を出版してきたんですが、『別れる決心』のシナリオ集がベストセラーになったということは非常に異例なことではあります。ただ最近の韓国の観客の間では、ドラマや映画のコンテンツが本になるというケースが多くて、読者も増えているんです。
それは出版界のひとつのトレンドだと言えると思いますが、私自身、最初はどれぐらいの方が読んでくれるんだろう、どんな方が読んでくれているのかと思っていたんですが、皆さんが読んでいる状況を知って、少しその気持ちが理解できたような気がします。
なぜかというと、私がシナリオ書くときには、頭の中に映画館があって。その頭の中の映画館で起こっていることを文字にして、作品にしているわけなんです。
でも観客はその反対になります。観客としては一度、映像や音で見ているんですけど、それを今度は文字で見るということになって、それを見るときには観客の頭の中にある映画館でその作品が上映されて、一度見たときの感情をもう一度振り返ったり、もう一度心に刻んだりすることができるので相互的な作業を果たしているのではないかなと思います。
1回監督からの提案を断った
――ちなみに今回のお話はどのようにして生まれたのでしょうか?
パク・チャヌク監督が『リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ』というドラマをイギリスで撮っていた時に、私もロンドンに遊びに行ったんですが、その時の監督が、今まで見た中で一番つらそうな様子に見えたんです。
ちょうどその頃に監督から、1人の刑事の管轄区域で、1人の女性が2人の男性を殺すという作品を作ろうと提案をしたわけですが、それは『渇き』に似てるかなと思ったので、1回お断りしたんです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら