バイアルの見直しについては当然、ファイザーやモデルナも準備を進めているようだ。
ファイザーは、「原価120〜140倍」の価格の理由として、製造コストと流通コストが緊急用ワクチンとは決定的に異なることを挙げている(pharmaphorum)。つまり、6人分を1バイアルから1人分1バイアルに変更することで、これまでと比べ最大3倍の費用がかかる可能性があるとしている。
モデルナは巨人達とどう戦うのか
また、流通チャネルと保険者(アメリカでは有料化後も、ほとんどが民間の医療保険によってカバーされる見通し)がそれぞれ多数関わってくることで販路が複雑化し、輸送コストが跳ね上がるとも説明している。
ファイザーのこうした主張は、投資専門機関の調査でも支持されている。一方で、新しい価格設定によって、ファイザーの年間収益が約25〜30億ドル(約3250〜3900億円)増加する可能性もあるという。(Reuter)
おそらくモデルナも同様のコスト計算のうえで、ファイザーの価格に合わせていく方向性を打ち出したのだと思う。
ただ個人的には、生き馬の目を抜くようなワクチン業界で、期待の新星モデルナが繰り出す次の一手にも、大いに興味がある。ファイザーという医薬品業界の巨人、あるいは老舗のワクチンメーカーとは圧倒的な体力差がある中、どう立ち回っていくのか。
mRNAワクチンが国内外のワクチン市場を揺るがし、日本のワクチン関連事業・行政にパラダイムシフトをもたらそうとしているタイミングだけに、いっそう目が離せない。
今後も国内あるいは世界規模で、新興感染症は繰り返し発生するだろう。安全で質の高いワクチンが、リーズナブルな(=合理的で妥当な)価格で、タイムリーに供給される環境の整備を切に願いたい。
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