──岸田首相も述べていた「5類感染症」への変更、岡さんはどう思いますか。
岡:まず誤解してほしくないのは、現在、新型コロナの死亡率は減っていますが、それはオミクロン株の病原性が下がったからだけではない、ということです。肺炎を起こす確率が高かったデルタ株に比べれば重症化のリスクは下がっていますが、実は病原性はそれほど変わっていません。
それにもかかわらず、死亡率が減っているのはなぜかというと、ワクチンです。さらに治療薬の登場や、皆さんの感染予防意識という複合要因によって、ようやくここまで死亡率を下げることができました。
5類の議論が出てきたからといって、新型コロナは大した病気ではないといった誤った解釈や、5類になったから病原性が低くなったなどと誤解しないことが大切です。
──新型コロナは季節性インフルエンザと同等、あるいはそれ以下だと言う人もいます。
岡:死亡率は同等かもしれませんが、新型コロナは感染力が非常に強いので、決してインフルエンザと同等ではありません。実際、死亡率は低いにもかかわらず、全体として死亡者が増えているのは、感染者が増えたためです。どうしても体力が落ちているお年寄りを中心として、コロナによって持病が悪化して亡くなってしまっています。
5類で隔離が不要になるわけではない
──そもそも感染症法上の5類とはどんな分類ですか。
岡:感染症法上の分類は、感染力や、罹患した場合の重篤性、頻度などを総合的に評価して決められている公衆衛生上の分類です。一方、私たちは分類ではなく、その病原体の特性により対策を行います。5類になったからといって、新型コロナの患者さんは病院で隔離しなくてよくなるということはありません。これまでと変わらず飛沫感染対策をしますし、マスクも付けてもらいます。
感染症法は公衆衛生上の分類であり、感染対策はウイルスの性質によって決まるので、「5類になったらマスクをしなくていい」という話をしている政治家やメディアの方たちは一部で誤解したり、国民に誤解を促す情報を流してしまったりしていると思います。
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