リマックはクロアチアの“完全電動”を売りとするハイパフォーマンスカーメーカーであり、ポルシェも2018年から、リマックの株式を取得し、開発パートナーとして合弁事業を開始している。
このあたりは少し複雑だが、ポルシェもブガッティも同じフォルクスワーゲングループに属しており、これまではアウディのコントロール下にブガッティが存在したのだが、今回の動きでポルシェ傘下へと移行した。
これによってフォルクスワーゲングループ内のブガッティとポルシェ、そしてポルシェ資本の入ったリマックによる強力なコンビネーションが誕生したのだ。
この新体制は、電動化に向けて老舗スポーツカーブランドと新興電動スポーツカーメーカーの協業体制を目指したもので、将来に向けてスポーツカーの電動化戦略をより強化するためのものだと考えられる。
「デザインセンターは両ブランドの1本化に向けて動いています。スタジオも新規に設立予定です。合弁会社のメリットを活かして、効率的に開発を進める体制作りを進めています」とは、デザイン・チーフのアヒム・アンシャイト。
彼がブガッティとリマックのスタイリングを仕上げていく、キーパーソンとなる。しかし、ブガッティとリマックの開発全体が現時点からすぐに一体化するわけでもないし、ブガッティにすぐBEVが登場することもないようだ。
先日、現在のランボルギーニ会長兼CEOであり、少し前までブガッティCEOも兼務していたステファン・ヴィンケルマンは、「ルールに乗っ取ってBEV商品化も想定するが、当面はPHEVがベストな選択である」と語ってくれた。ブガッティに関しても、そのスタンスは同様なようである。
マネージング・ダイレクターのヘンドリック・マリノウスキーは、「BEVという具体的なプランはまだ見えていません。今はPHEVの新規パワートレイン開発に集中しています。今年の夏にはあるカタチをお見せできると思います」と話す。
35歳の若きCEO、メイト・リマック
一方、リマックの創始者&CEOであり、新会社ブガッティ・リマックのCEOに就任した弱冠35歳のメイト・リマックは、これまでと変わらず極めてアグレッシブだ。
メディアの取材に対して、「ブガッティの現在の開発体制では収支を取ることが難しい」という忌憚のないコメントも残している。要は“これから大改革を進める”ということであろう。
たしかにフォルクスワーゲングループ内における開発承認から認証のプロセスは大変厳しいもので、それが「1モデル数十台という生産規模のモデルに見合ったものであるかは疑問である」という声が漏れ聞こえていた。事実、旧知の評価テストドライバーから、想像を絶し、過酷ともいえる評価作業が繰り返し行われたと聞いている。もっとも、それは悪いことではない。
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