しかし実際には、親子は対話をしているでしょうか?
ファストフード店で1人以上の子どもと食事をする保護者を観察した面白い研究があります[*10]。55人中40人の大人は、程度の差こそあれ、携帯電話に気を取られていて、なかには子どもをほとんど無視しているケースもありました。
さらに、続きの研究[*10]で、225人の親とその6歳児の親子それぞれに試食をしてもらい、そのやりとりをビデオに収めました。
携帯電話ばかりに気を取られている親は……
結果、観察期間中、25%の親が自発的に携帯電話を使用し、携帯電話の使用頻度が高い親ほど、当然、対話の頻度が低いほか、子どもの行動に対して厳しい対応をする傾向があることもわかりました。
子どもたちが話を聴いてもらえていないと感じる原因のひとつは携帯電話だということもわかっています。
親が時々不注意になることで子どもがダメになるわけではありませんが、慢性的に子どもの話を聴かないようであれば、接し方の見直しが必要です。
携帯電話に気を取られている大人は、邪魔をされるとイライラしはじめ、子どもから発せられる感情的な合図を見逃すだけでなく、誤解してしまう可能性もあります。イライラして怒鳴ったり、不必要に叱りつけたりすることにもつながりかねません。
子どもはただ話を聴いてほしいだけなのに、大人が勝手に、子どもがわざと悪さをしていると思い込んでしまうのです。
もちろん、子どもが一人になる時間を持つことや、退屈な時間を過ごすことは、本人の創造性や自立性を高める上で大切なことです。
しかし、親が子どもと一緒にいながら、携帯電話ばかりに気を取られていると、その子が携帯電話よりも価値のない存在であると無意識にも伝えている可能性があることを、念頭に置く必要があるでしょう。
子どもの話を聴くこと、対話をすることは、子どもの言語発達に影響があるだけでなく、愛されている実感を得られるかどうかを左右します。物理的に子どものそばにいたとしても、本当に心がその場にあって、子どもに注意を払えているのか? 子どもとの対話を心から楽しめているか? 子どもの発達を考える時、大人は子どものゲームや携帯電話の使用時間を気にするよりも先に、自分自身がいかに電子機器を使用しているか、対話を優先できているのかを見直す必要があるでしょう。
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