【前編】優しさを拒絶する7歳の彼女が抱える傷 勉強が苦手で友達もいない、その裏にあった事
これはのちに、穂乃果さんの弟と妹の検診に関わった保健センターからの情報であきらかになったのだが、彼女の両親は穂乃果さんに幼い弟と妹の世話と家事を押しつけていた。
穂乃果さんは妹をお風呂に入れ、髪を洗い、ドライヤーで乾かしてやっていた。幼稚園に行く前には、妹の髪をヘアピンでとめてやった。それが日課だった。
ただ、まだ洗濯機のつかい方だけはわからなかった。母親の気まぐれで洗濯してくれる機会を待つしか、清潔な洋服を着る手段はなかった。
保健センターからの情報提供で、子ども家庭支援センターは早速この家庭を「調査」した。だが、親の養育能力は高いわけではないが虐待に該当するわけでもないとして、関わりは途切れていた。たしかに、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクトはない。おそらく、性的虐待もないだろう。ただし、穂乃果さんが親からの愛情を欲する気持ちだけは無視され続けていた。情緒的ネグレクトは慢性的に継続していた。
穂乃果さんの気持ちに"無関心"な親
穂乃果さんの気持ちに対して関心が薄い親の様子は、次に示す子ども家庭支援センターからの情報で、よりはっきりとわかった。職員が母親に対して、もっと穂乃果さんの気持ちも考えてほしいと伝えた際には、
「あの子、しっかりした子だから甘えてこないんですよ。もうお姉さんだから自立したい気持ちが強いみたいで。働き者だから助かるんです。私が教えなくても、なんでもやっちゃうんですから」と、あっけらかんと話したという。
話を聞いた職員は、「まるで幼子のようだった」と母親のことを形容した。一方の父親はというと、なにが問題なのかを理解していない様子だったという。
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