【後編】優しさを拒絶する7歳彼女の心のケア 「障がい児」だと間違われるのはなぜなのか
ここで、穂乃果さんの「拒絶」の意味を考えてみよう。被虐待児の視点に立つと、およそ次のように推測できる。
彼女は、たった7年間の人生しか経験していない。しかし、親からの愛情はもらえないものだと心のどこかでは感じている。欲してももらえない。これが彼女の経験から身についた「生き方」である。
ほとんどの子は親に髪をかわいく結ってもらうが、穂乃果さんは髪を結いたければ自分でやるほかない。だから彼女にとって、大人の手で髪を結ってもらうなど、贅沢なことなのかもしれない。
それなのに大人が急に近寄ってきて、「髪、綺麗に結ってあげるね」などと言われたら彼女は混乱する。せっかく自分でやると決めたのに、余計な贅沢をしたくなってしまう。
愛情を期待しないで保った心のバランス
このときの穂乃果さんの気持ちを代弁すると、「なんにも知らないくせに!だから大人は無責任なんだ!」だろう。大人からの「甘やかし」に乗ってしまったら、ほしかった愛情、つまりやさしくされたい気持ちを我慢する緊張が途切れてしまう。
もし途切れてしまったら、もっとほしくなってしまう。愛情を期待しないで生きていくことで保ってきた心のバランスが崩れてしまうかもしれない。それは怖い。その根底には、人からのやさしさを期待しないで生きようとする「孤立」で支えられた生き方がある。
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