「"子ども同士"の性被害」親に言えない深刻な事情 「子ども同士のいたずら」と流され、傷つく子も
漫画をブログで公開した際、100件以上のコメントが書き込まれ、「ゆっぺさんだけに打ち明けます」と過去の傷ついた経験をつづったメールも200通以上届いたそうだ。「自分へのメッセージだけでもこれだけ多いのだから、どれほど被害が隠されているのだろう」と胸が痛んだ。
メッセージを読むと、小学生の時に被害に遭ったケースが多い。高学年の男児に強要されて低学年の男児が嫌がらせに加担したり、好奇心に任せて暴走したりするなど、ケースはさまざま。被害者は体験を鮮明に覚えており、文面からは苦しい胸の内が伝わってくる。
「私も性被害に遭った1人で、結婚して子どもを持った今でも忘れることはできません」
「相談したけれど、気にし過ぎと言われました」
「相手はいとこで、親がいとこを信頼しているので、今でも言えません」
ゆっぺさんは、加害者が兄弟や近所に住む年長男児、いとこなどと書いてあったことにショックを受けた。「苦しくて読み進められない」と思うこともあったが、「誰にも言えなかったことを告白できて、よかった」という感謝のコメントも数多く寄せられていたことに安堵した。
加害者からのコメントもあった。「軽々しく(性的な嫌がらせを)やったけれど、この漫画を読んで申し訳なかった。相手がそこまで傷ついているとは思わなかった」とのメッセージに、「この漫画を描いた意味があった」と感じた。
家族、兄弟姉妹でも勝手に体に触らない
ゆっぺさんは自分の経験があったことで、長女のケースに対して適切な対応を取ることができ、解決できた。では実際に同様のことが起こったら、親はどのように対処すべきだろうか。立教大学名誉教授で、“人間と性”教育研究協議会の代表幹事を務める浅井春夫氏は語る。
「未就学児や低学年児童がいろいろな刺激を受け、好奇心に突き動かされて行動している場合、その行為がセクシャルな意味を持った性加害に当たるかどうかの見極めは難しい問題です。考えておきたいのは、大人の目の届かないところで行われていることが多いので、大人が注意をしておくことです。家族、兄弟姉妹でも勝手に体に触らないことは日頃から子どもたちに伝えておく必要があります」
保護者同士の関係性が近いと悩ましい。親同士に近所づきあいがあったり、親戚だったりする場合である。しかし、浅井氏はきっぱりと言った。
「子どもが嫌がっているのだから、大人のメンツや人間関係などは脇に置いて早くやめさせなければいけません。なぜなら性被害は人権侵害です。大人として果たすべき役割を担い、正しい態度を取ることが求められます。大人同士で情報を共有することが大切です」