「"子ども同士"の性被害」親に言えない深刻な事情 「子ども同士のいたずら」と流され、傷つく子も
「うちの子に限って、そんなことはしません」「単なる子ども同士の遊びでしょ」などと、なかなか耳を貸してもらえないこともあるかもしれない。被害現場が幼稚園や保育所ならば教職員を巻き込んで事実を共有し、対話を続けながら解決していくことができるが、そうとは限らない。
浅井氏は「被害現場が保育所・幼稚園以外でも、保護者同士の話し合いができない場合には、信頼に足る専門職に協力を求めていくしかない」と言う。教職員や児童相談所の職員、小児科医など、いろいろと考えられる。第三者に相談することで「うちの子を悪者にした」などと言われるかもしれない。しかし、被害が続いて子どものトラウマになることは避けたい。
また、より厳しいケースについても言及した。年齢が上がり、きょうだい間で性暴力がある場合には、生活空間を分けることが急務だという。しかも、「被害を受けた側でなく、加害したほうを遠ざける対応とともに専門的な医療・教育機関と相談する必要がある」と強調した。
「嫌なことをされたら必ず大人に言いなさい」と伝える
前出のゆっぺさんは原則、子どもの気持ちや自発的な行動による解決を大切にしているが、大人が介入せざるをえない場面もあったと話す。長女のいじめに対しては、ゆっぺさん自ら加害児の保護者に会いに行った。
「『○○さんだからわかってくれると思って話します』と前置きして、娘が受けた被害を打ち明け、『うちの子も同じことをしたら絶対に言ってくださいね』と伝えました。責めると責め返されますから、まずは共感してもらえるように話しました」
幼児期の性被害については、幼いがゆえに本人が「嫌なことをされた」とは思っていてもそれを性被害だとはわからないこともある。また、加害児童にも悪いことをしているという認識はないかもしれない。単なるいじめよりも発見が遅れがちだからこそ、浅井氏は日常から伝えることが重要だと強調する。
「被害経験の有無にかかわらず、子どもには日ごろから『嫌なことをされたら必ず大人に言いなさい』と伝え、最初に言った大人が受け止めてくれなかったら『別の大人に言いなさい』と教えることです。受け止めてくれる大人が見つかるまで言い続けることを強調してください」
ゆっぺさんも長女に「これからも自分が嫌だと感じることをされたら言ってね。ママに言えなくても、信頼できる大人に必ず伝えてね」と言ったそうだ。
好奇心によるいたずらが性加害とならないために、浅井氏は、2、3歳から言葉の発達に合わせて絵本などで性教育を始める必要があると説く。