三井物産が就活生1800人を集めて行ったこと 人気企業は、だから説明会の手を抜かない

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筆者は多くの説明会を取材しているが、この日の説明会は、ほかの合同企業説明会とはだいぶ様子が違うように感じた。普通の合同企業説明会では、通路などで友人と雑談したり、スマホをいじったりして時間を無駄にしている学生を多く見かけるが、この日はそういった学生がほとんどいなかった。

会場でインタビューすると、ほとんどの学生がすでに内定を持っていた。外資系企業の内定を持っているある学生は、「とりあえず納得できる企業の内定があるので、これからは第1志望の総合商社に絞って活動する」という。もちろん、一部の学生にしかインタビューしていないが、ほかの合同企業説明会よりあきらかに内定取得率が高い。

また、3年生の夏以降、数社でインターンシップを行っていたり、OB・OG訪問をするなど、積極的に活動している学生も多かった。都内私立大学の女子学生は「大学のキャリアセンターに頼らず、知り合いに紹介してもらって社会人と会って話を聞いている」とのこと。就活では、OB・OG訪問が有効であると言われているが、実際にOB・OG訪問をする学生は多くない。しかし、この女子学生にように、自分から積極的に行動する学生もいる。

「就職サイトが主催する合同企業説明会とは雰囲気が違う」(取材に同行したカメラマン)。カメラマンによれば、説明を聞いているときの表情、ノートを取る姿勢、質問をする様子が引き締まっているというのだ。私も受け答えのしっかりした学生が多いと感じた。

3月だけで説明会を100回開催

三井物産は会社を幅広く理解する母集団形成のために、積極的に会社説明会を開催しており、小規模のもの含めると3月だけで約100回行っている。そして、今後もこのような大規模説明会を開催する可能性があるという。

会社説明会への人数集めに苦労する企業が多い中、三井物産の説明会には1800人が参加した。応募は約4000人だったが、会場の制約で絞り込まずをえなかった。学生が集まる企業とそうでない企業の格差は極めて大きい。

就職マーケット全体を見れば、3月になってからやっと就活を開始した学生が多い。彼らは合同企業説明会に参加して、これから志望業界を決めようとしている。一方、この日の説明会に参加した学生は3年生の半ばから就職を意識し、志望業界を絞り込んでいるだけでなく、将来のキャリアについても考えている。企業間格差と学生間格差という、今年の就活を象徴するような企業説明会だった。

(撮影:風間仁一郎)
 

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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