「ドムドムバーガー」復活を支える3つの"意外性" ハンバーガー店がアパレルを売るのはなぜか

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1つが独自マスコット「どむぞうくん」のマークが入ったマスクの販売だ。マスク不足が深刻化する中、自社で生産体制を整えてマスクの製造を行い、2020年5月にまず従業員に配布し、その後顧客向けにも販売するようになる。これがメディアなどでも話題となり、結果的にEC事業の足がかりとなった。

ドムドムのバスク
「どむぞうくん」のマークが入ったマスク(撮影:尾形 文繁)

コロナ禍に決めた「花やしき」への出店

出店戦略にも、この考えが反映されている。通常、飲食店が出店先を決めるとき、店前交通量やライバル店の有無などからマーケットのポテンシャルを分析して判断を行う。しかし、ドムドムの場合、社会的な意味や顧客体験価値を重要視して出店先を決めている。顕著な例が、「ドムドムハンバーガー 浅草花やしき店」だ。

ドムドムバーガー花やしき店
花やしき店は花やしきの中だけでなく、外からでも商品を買える(撮影:尾形 文繁)

同店は2020年9月にオープンした。今でこそコロナ禍が落ち着き、インバウンド客が戻ってきたので浅草も賑わっている。しかし、当時はGo To トラベルも始まってなく、観光地に人はまばらだった。

ましてや入国制限があった時期なのでインバウンド客はもちろんいない。それにもかかわらず出店を決めたのは、観光地である浅草の活性化が、日本経済の底上げにつながると判断したからだという。

「私が社長に就任するとき、一度出店をすべてストップしています。その前まで長く赤字が続いていたので社内には閉塞感が漂っていました。ですので、出店を行った方が社員は会社の成長を感じられて、閉塞感もすぐに打破できたかもしれません」と藤﨑社長は話す。「しかし、ブランドとしてどこに向かうのか、お客様が何を求めているのかを把握しないまま出店しても成功を収めるのは難しいでしょう」。

そこで、軸となるコンセプトを固め、それに基づき社会的意義や顧客の体験価値を重視して出店をしていくことに決めたという。

「現在、浅草花やしき店の売り上げはとても好調。結果として、私たちの取り組みをたくさんのメディアに取材していただいたおかげで、幅広い世代の方に興味を持ってもらえました。そうした反響があったのも売り上げありきではなく、意義ありきで出店を考えたからだと思っています」(藤﨑社長)

同社はまた、2021年3月に千葉県にある「市原ぞうの国」にも出店。「ぞう」が縁だとしているが、コロナ禍で多くのテーマパークなどが苦戦を仕入れる中での出店はまさに従来の外食の出店戦略とは異なるが、ここでも出店することの意義を重視したとしている。

藤崎忍社長
コロナ禍中に「花やしき店」の出店を決めた藤﨑社長(撮影:尾形 文繁)
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