ジャック・マーが何より大切にしている経営原則 2007~2011年、大発展を遂げていた頃の生声

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Alibaba.com公式サイト
アリババ・ドットコムの日本語版サイト(画像:Alibaba.com公式サイト)

私の最初の職業は教師でした。ですから、自分の10年以上にわたる企業経営の経験を人に伝えることができなかったら、無駄になってしまうと思うのです。人と共有できるものが多ければ多いほど、大切にして、宝にできるものが多いと思うのです。
――2008年10月28日 稲盛和夫(京セラ創業者)との対話


失敗したという事実を後悔してばかりいて、失敗した理由を後悔しないなら、いつまでも後悔し続けることになるだろう。
――2008年 ジャック・マーの起業家精神に関する発言から


お客が一番大切、従業員が二番、株主は三番。
それが、アリババの絶対譲れない原則です。
――2009年9月10日 アリババ創立10周年 祝賀式典

自分の面倒を見れないなら他人の面倒など見れない


成功した企業のリーダーにとって、目標が金持ちになることだったら、いくらでも金持ちになれるだろう。だが、そんなにたくさんの金を持っていて、いったい何になる?
1億ドルもあったら、自分と自分の子どもたちにとってはすでに十分以上だろう。純資産がある額を超えたら、それはもう自分の金ではない。社会の金だ。それは社会が与えてくれた金なんだから、正しい方法で配分する責任がある。私は2、3年前からそのことを考え始めた。ある朝、目が覚めて急に考えたんだ。「これから、どうしたらいいだろう?」って。
――2009年12月 Nature.org


中国人は、中国の環境保護のことを真剣に考えています。そのことは世界に対する最大の貢献になるでしょう。私にはアフリカのためにもっと何かできないか考える余裕があります。
だが、ジャック・マーのような人間が何人いると思いますか?
より大きな世界観を持てるほどの資産や機会を持つ中国人が、自分の国の外を見る余裕のある中国人が、いったいどれだけいるでしょう?
世界に対して責任を果たすことは立派なことですが、中国人はきっと、自分の周りの環境を大切にするためにもっと行動を起こす義務があると言うでしょう。自分の面倒を見る気がないなら、あるいはできないなら、他人の面倒を見ることなどできるはずはないんです。
――2009年12月Nature.org

ジャック・マーの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実
『ジャック・マーの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実』(文響社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

私は中小企業の会合に来ると、いつもわくわくする。中小企業の会合では、あなた方の目の中に夢が、情熱が、希望が見えるからだ。
だがフォーチュン500企業の会合で見えるものは、数字、収入、KPI、それに激しい競争だけだ。
――2009年 APEC中小企業グローバル・サミット


アリペイ(支付宝)はいまでは成功しているように見えるかもしれないが、最初は必死でアイデアを考えなければならなかった。
その頃、淘宝(タオバオ)での取引には困難があった。安全な支払いシステムがまだできていなかったからだ。中国国内の大手銀行は参加を渋ったので、シティグループやHSBCなどの外国銀行に話を持ちかけた。その年のある会議の席で、1人の重役がこうアドバイスしてくれた。
「未来のために、どういうイノベーションをし、どういう決断をするんですか? それがあなたのミッションでしょう?」その時に、私たちはアリペイ(支付宝)のアイデアを思いついた。クリーンで透明性の高い支払いシステムで、毎四半期に必ず当局に報告をしている。
――2011年3月31日 浙商網

スク・リー 編集者

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Suk Lee

米国の多くの出版社で働いてきたベテラン編集者。ニューヨーク大学卒業(英語文学専攻)。ニューヨーク市在住。

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Bob Song

中国の出版・IT業界で長く働いてきた。北京在住。

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