防衛費増額による真の代償が「増税」ではない理由 「今を生きる世代」が分かち合うべき負担の正体
したがって、われわれ国民は、防衛力の強化が始まったら、増税されなくとも、自動的にインフレという負担を課せられることになる。
もし防衛力を急激に増加させれば、その代償として、国民は高インフレによって生活を圧迫されることになるだろう。しかも、その高インフレという代償を払うのは、「今を生きる世代」である。要するに、国を守るために、今を生きる世代が共有しなければならない真の負担とは、税ではなく、高インフレなのである。
その意味において、「有識者会議」が、防衛力の強化には「自らの国は自ら守るとの国民全体の当事者意識」が必要であり、その負担は「今を生きる世代全体で分かち合っていくべきである」と言ったのは、正しかった。ただ、資本主義における政府の財源についての理解が間違っていたのである。
なお、資本主義の仕組みやその下での国家財政のあり方について、この短い論考では十分に説明できていないので、詳細は『世界インフレと戦争』を参照願いたい。
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