ペットブームで経営改革を迫られる「動物病院」 「経営と診療の分離」がいま求められている
経営とは、端的にいえば仕組みです。
私は獣医師の資格も有していますが、経営に専念することで自社で運営する動物病院を9施設まで拡大してきました。
各病院の院長のほかに、院長を束ねるリーダーとして総院長を配置し、病院のさまざまな相談に乗るサポート部門としてスーパーバイザーを置き、診療以外の財務や労務などを受け持つ管理部門も設置。こうして組織化することで、獣医師やスタッフの労働環境を改善し、ペットオーナーの要望に応える体制を整えてきました。
動物医療の価値はもっと高まる
こうして経営の基盤をしっかりと固めることではじめて、動物医療は次のステップへと進むことができます。
動物病院がいままで以上に便利なものになるよう、わたしたちは走り続けてきましたが、この世界には足りていないものがまだたくさんあります。いままさに、その足りないものを補うスピードを上げていこうとしている最中です。
例えば、動物医療に関わる人間の知識・専門性をもっと深く、そして広く、ペット関連ビジネスのなかに活かしていくこともその一つです。
そのためには、さまざまな人たちとの連携を恐れず、共創型ビジネスを展開していくことが欠かせません。コラボレーションを通じてつくり出せる、ペットオーナーの方々にとっての「便利」は無限にあるでしょう。
トリマーやドッグトレーナーのようなペット系専門職との連携で生み出せる便利、または、ペットショップとの連携から生み出せる便利もあるに違いありません。「動物」という枠組にとらわれない発想を持てれば、考えもしなかった異業種とのコラボレーションでイノベーションを生み出せるかもしれません。地方自治体との連携からも、なにかがつくり出せるでしょう。
動物医療の世界はこれまで、「共創」という発想でなにかをつくり出すことに対して臆病だったかもしれません。その結果、獣医学上の裏付けのない商品やサービスが一部で広がったという面はあります。
また、近年は、ペット領域や動物医療領域においてもテック系ベンチャーが登場し、さまざまな課題を解決しようと奮闘しています。
今後もペット関連のマーケットは拡大していくでしょう。高度化、専門分化する診療に応えていくことは当然のこととして、診療以外のプロダクトやテクノロジー、サービスにも知識と経験を還元していくことが、動物医療に携わるものの社会的な価値だと思います。
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