日本企業の「給付型奨学金」が貧弱すぎる3大要因 若者を支援したくても、断念せざるをえなかった

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奨学金を学生に給付することそれ自体はとてもすばらしく喜ぶべき取り組みではありますが、一方でこうしたすばらしい取り組みが現場を疲弊させ苦しめていたりもするのです。大学職員の方と接している弊社の社員は全員「現場の業務負荷が大きすぎる」という意見で一致しています。「もう対応しきれない」という悲痛な現場の方々の叫びはかなり深刻なものです。

そして、3つ目の要因「③情報がまだまだ整っていない」がこの辺に関わってきます。

どの学生に奨学金を給付するかを決める一連の流れは、採用活動と似ている部分があります。ですが、「給付型奨学金の採用」はそれに比べてかなり混沌としています。「日本における歴史が浅すぎるゆえに、採用するうえで聞くことすら決まっていない」からです。

就活では企業ごとに違いはあっても、自己PRや志望動機などある程度聞くことは決まっています。これが給付型奨学金になると、運営元の方針によってさまざまです。成績や課外活動を重視するところもあれば、親の収入状況、きょうだいの数を聞くところもあります。また、そういった情報をいっさい聞かない奨学金もあります。

数年前を境に変化が生じ始めている

ただ、そんな状況もここ数年を境に、少しずつ変わってきています。手前味噌になりますが、奨学金現場の現状をお伝えするために、もう少しお付き合いいただければと思います。

上記のような、「みんな頑張っているのに、みんな救われていない」背景を知り、その課題解決のために会社を立ち上げることにしました。学生・保護者向けに日本全国の奨学金情報を集めた情報サイト「ガクシー」のほか、奨学金を運営している団体向けの業務管理システム「ガクシーAgent」を2019年に運営開始しています。

学生・保護者向けのサービスだけではなく、運営団体向けのサービスを提供しているのも、ここまで書いてきたような課題を解決するため。「若者を支援したい」「若者に投資したい」という善意を途絶えさせず、届けるためでした。

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