生前贈与、暦年課税と精算課税は組み合わせよ 相続前7年間に毎年110万円をどう贈与すべきか

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(1)精算課税は相続前7年なら確実に有利

2024年から毎年110万円を7年間にわたって計770万円贈与する場合、精算課税も暦年課税も贈与税はかからない。

だが7年後の相続時、暦年課税では持ち戻しによって、贈与額の670万円(=贈与額110万円×7年間−控除額100万円)が相続財産に加算される。一方、精算課税では基礎控除の毎年110万円はずっと持ち戻しなしなので、贈与額の相続加算はゼロ。精算課税のほうがはるかに有利だ。

では、毎年110万円を超える金額を10年間贈与すれば、それぞれどうなるか。例えば、年200万円を10年間贈与し、10年後に相続が発生する場合、贈与する額は計2000万円である。

暦年課税の贈与税額は、(贈与額200万円−基礎控除110万円)×税率10%で年9万円が10年間として、90万円。一方で精算課税の贈与税額は、年110万円を超える贈与額900万円(90万円×10年間)が特別控除2500万円の枠内なので、ゼロである。

そこから相続発生時、暦年課税では1300万円(=贈与額200万円×7年間−控除額100万円)が、相続財産に加算される。一方、精算課税では900万円(=贈与額2000万円−基礎控除110万円×10年間)が加算され、相続税の対象となる。

ここでも精算課税が有利だ。

(2)精算課税で基礎控除と特別控除を利用する

精算課税の基礎控除110万円と特別控除2500万円で最も効果的な組み合わせはどこか。

例えば、20年間を前提に、基礎控除の年110万円を毎年贈与すると、2200万円まで非課税。加えて、特別控除の2500万円を20年間で割ると、非課税を超えないのはおおよそ年120万円。併せて毎年230万円を20年間=計4600万円を精算課税で贈与するのが最大となる。

ちなみに精算課税は複数の受贈者に対して行えるため、4600万円を子2人に贈与すれば、計9200万円までは贈与税が非課税だ(持ち戻しを考慮しない場合)。

暦年課税でしかできないこともある

(3)暦年課税は相続人以外への贈与が有効だ

暦年課税にも有利な点はある。精算課税では贈与者(贈与をする者)が死亡した際、受贈者を対象に贈与財産が相続財産に加算される。一方、暦年課税で相続時に加算される対象は、相続で財産を取得する人に限られている。

法定相続人以外の孫や子の配偶者は、遺贈や代襲相続がなければ相続で財産を取得できないので、加算対象にはならない。よって暦年課税が有効である。

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