在宅時ねらう「関東連続強盗」家庭での最強対策 侵入者から身を守る「パニックルーム」の有効性

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ただし、犯人の侵入経路によっては、該当の部屋に逃げ込むのが難しい場合もあるだろう。また、部屋数が少ない家庭では、そういった部屋を設けること自体が難しいかもしれない。その場合は、トイレなど鍵をかけることができて、ある程度頑丈な部屋に逃げ込むことも有効だ。ドアを壊そうとするにも時間がかかるし、壊す際には大きな音も出る。

パニックルームに外部との通信手段があったとしても、状況によっては別の部屋に逃げ込む可能性も見込んで、スマホなどの通信機は家の中でも携帯しておくのがいいだろう。これは、侵入者対策だけでなく、高齢者が倒れた際にも有効なので、まずできることとして実行していただきたい。

何より大事なのは、「この部屋をパニックルームとし、何かあった際には逃げ込むように」「パニックルームが難しい場合は、トイレに逃げ込もう」などと家族間で共有しておくことだ。

ためらわずに「♯9110」番にかけること

家族間で当日の訪問者の共有をしておくことも大切だろう。特に高齢者や子どもがいる家庭では、「宅配便が何時頃に来るけど、それ以外は予定にない」などと伝えておき、むやみに訪問者を受け入れないこと。今はコロナ禍で宅配便の「置き配」が可能なこともあり、戸建てでも宅配ボックスを設置して、対面で受け取らないようにすることでも防げるだろう。

そしていちばんお伝えしたいのは、不審な人物、車両などを発見したら、「110」番や所定の警察署への連絡をためらわないでほしいということ。その通報によって、事件を未然に防ぐことができるかもしれない。

緊急時の「110」番にためらいがあるということであれば、警察相談専用電話「#9110」番を利用していただきたい。ここにかければ、地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながる。

資産を守ることも大切だが、何より自分と家族の命を守るため、各家庭での対策を強化していただくことをおすすめしたい。

松丸 俊彦 セキュリティコンサルタント

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まつまる としひこ / Toshihiko Matsumaru

警視庁に23年在籍。2002年日韓共催W杯サッカー大会においてロンドン警視庁の特別捜査官と共にフーリガン対策に従事。在南アフリカ日本大使館に領事として3年間勤務。南アフリカ全9州の警察本部長と個別に面会して日本大使館と現地警察との連絡体制を確立し、2010年南アフリカW杯サッカー大会における邦人援護計画を作成。警視庁復帰後、主に防諜対策(カウンターインテリジェンス)及び在京大使館のセキュリティアドバイザーを担当。全155大使館を延べ1,200回以上訪問し、大使館及び大使公邸に対するセキュリティアセスメント(警備診断)、特命全権大使を始めとする外交官に対するセキュリティブリーフィングを実施した。

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