イギリスも苦慮する「ストーカー規制」の大問題 法律あっても完全に機能しているとは言えない

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接触禁止も含むストーキング保護令に違反した場合、刑事罰として最大5年の禁錮刑を科される場合がある。

法律はできたものの、ストーカー行為被害者や支援団体は保護令の出動の遅さに懸念を抱く。

先に紹介した3人の場合を見ても、警察が女性たちの苦情にすぐに対応しなかった。ストーカー行為はそのインパクトが第三者にはすぐには見えにくい場合があり、シャナナさんの場合は、ストーカーが「自分たちは交際している」と警察に答えたことで、「交際相手同士の痴話げんか」と受け取られてしまった。

起訴まで至る件数は減少している

起訴率の低さも問題視されている。BBCが調査したところによると、イングランド・ウェールズ地方で通報されたストーキングの件数の中で、起訴まで至った件数の割合が年々減少している。2014〜2015年では37%だったが、2021〜2022年では6%。全件数の3分の1は「証拠不十分」として起訴まではいかなかった。

2010年代以降、ストーカー行為に対し、警察の介入がより早期にできるよういくつかの法改正が行われてきた。有罪となればかつては最長5年の禁錮刑が科されたが、現在は最長10年間に延長されている。しかし、例えストーカーが有罪になっても、「量刑が軽すぎる」と思う被害者は少なくない。接触禁止令が出ていても、ストーカー行為が止まらない場合も多い。

犯罪の被害者の権利を守るために設置された政府の役職「被害者コミッショナー」としてロンドンを担当するクレア・ワックスマン氏も不満を持つ1人だ。

ワックスマン氏は過去19年間、ある男性から自宅や仕事場でストーキングされた。男性には生涯にわたる、ワックスマン氏への接触禁止令が出ているが、近年、男性がこれを違反し、1年4カ月の禁錮刑を科せられた。

ところが、裁判開始までの待機時間がこれにちょうど該当しために、すぐに釈放された。「これほど軽い刑では、被害者は安心できない。ストーキングは心理的なテロだ」(ワックスマン氏、BBCの番組、2022年11月)。

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