コロナ第8波「死者急増」の真相が映す構造的課題 感染症法の類型や医療・介護制度の弱点が背景に

✎ 1〜 ✎ 44 ✎ 45 ✎ 46 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

谷口清洲・東京財団政策研究所研究主幹(国立三重病院院長)らによる発熱患者らのインフルエンザ様疾患サーベイランス報告によると、そこから推計されるコロナ患者数は報告感染者数の数倍である。さらに、これは有症状の感染者に限った推計であり、無症状感染も含めれば、非常に多くの新型コロナ感染者が実際には存在する。感染性が非常に高いオミクロン株ではマスクの効果も限定的だ。

しかし、「感染者数が多い」という理由だけで、第8波の死亡者増を説明することは、本質的な問題を見失う。つまり、報告されている「コロナ死亡」にはさまざまな死因が含まれていることに注意する必要がある。オミクロン株が主流になってからは、ワクチン未接種例を除くと、新型コロナウイルス感染が重症化し肺炎が悪化し、大学病院のICUで死亡するような直接死亡症例は大きく減っている。

直接的死因だけカウントしているわけではない

現在、新型コロナで亡くなっている人の多くは、脆弱な高齢者で介護施設などに入居しており、アルツハイマー型認知症や心臓病などの基礎疾患があり、コロナのクラスター感染を契機に衰弱したり、基礎疾患が悪化したりして死亡する症例だ。

この中には、冬季の風邪やインフルエンザをこじらせ亡くなった症例で、スクリーニング検査でたまたま新型コロナ陽性であった症例もあるだろう。同様に、別の疾患や事故で入院して亡くなった場合も、入院時の検査でコロナ陽性と判定され、それが「コロナ死亡」とカウントされる場合もあるだろう。

つまり、「コロナ死亡」と報告されている症例には、新型コロナウイルス感染が直接的な死因である症例のほかに、間接的な場合、あるいは、たまたま無症状感染だったものが入院時検査で判明した場合も含まれている可能性がある。

次ページ感染症法で2類に分類されていることの弊害
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事