コロナ「5類移行」をここまで引っ張らせた真犯人 時代遅れの「感染症法」を見直さなければならない

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感染症法の2類相当は金にもなる。病床確保名目などで、さまざまな予算が措置されるからだ。表は昨年8月段階の首都圏、関西圏の主要病院、および厚労省管轄の独立行政法人のコロナ患者受入状況、および補助金の受入額をまとめたものだ。

2022年9月20日現在_【2019~2021年度】主要な附属病院を持つ大学と国立病院機構、JCHO等のCOVID-19感染患者の入院率と補助金総額

(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

特に酷いのが、厚労省管轄の3つの独立行政法人だ。第7波の真っ最中であるにも関わらず、国立病院機構、地域医療機能推進機構(JCHO)、国立国際医療研究センターの即応病床あたりの受け入れ割合は65%、72%、42%に過ぎなかった。一方、2021年に受け取った補助金は1272億円(2019年比2803%)、556億円(同4279%)、45億円(同675%)だ。他の大学病院の受け入れとはレベルが違う。コロナが5類に変更されれば、このような「旨味」は全てなくなる。

コロナ対策の法的根拠は感染症法だ。日本のコロナ対策を論ずるなら、この法律を理解することが大切だ。

感染症法の強烈な権限

感染症法の雛形は、明治時代に確立された。基本的な枠組みは、国家の防疫のために、感染者・家族・周囲の人を強制隔離することだ。殺人犯でも、現行犯以外は、警察が逮捕するには裁判所の許可が必要だ。

ところが、感染症法では、実質的に保健所長の判断で感染者を強制隔離できる。基本的人権などどうでもいい。戦前、感染症対策は、内務省衛生警察が担当していた。当時の雰囲気がご理解いただけるだろう。戦後、感染症法は廃止し、基本的人権を保障した形で、新しく立法すべきだった。ところが、感染症法の雛形は、そのまま生き残った。

この結果、現行の感染症法は、エボラ出血熱や鳥インフルエンザのような強毒な病原体が侵入した非常事態に対応すべく、厚労省などの関係者に強い権限を与えている。いわば戒厳令のような存在だ。

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