なぜ、死亡が増えたのだろうか。医療ガバナンス研究所の山下えりかは、厚労省の「人口動態統計」を用いて、2019年と2021年の死因の変化を調べた。
驚くべきことに、2019年と比べて、2021年に人口10万人あたりの死亡数が最も増えたのは老衰(25人増、25%増)だった。次いで、コロナ(14人増)、誤嚥性肺炎(7人増、23%増)、心疾患(6人増、3.4%)、悪性新生物(4人増、1.3%増)、アルツハイマー病(2人増、10.8%増)と続く。逆に肺炎(18人減、23%減)、脳血管疾患(2人減、1.8%減)、不慮の事故(1人減、2.1%減)は減っていた。感染症対策や自粛が影響しているのだろう。
国民に過剰な自粛をさせた結果
老衰、誤嚥性肺炎、アルツハイマー病は、老化による身体や認知機能の低下が原因だ。自粛による運動不足や、社会的な孤立が影響したと考えるのが自然だ。これは前述したように、隔離一辺倒の感染症法が、国民に過剰な恐怖心を植え付け、国民を過剰に自粛させたためだ。
いまだに専門家は、自らの誤りを認めていない。彼らにとっての関心は、国民の命より、コロナ感染者数と言っていい。ただ、これは、国家の防疫を何よりも優先する感染症法の主旨に合致している。
今こそ、感染症法は、根本から見直さなければならない。国家権力が国民を統制するのではなく、国民は医療・検査を受ける権利があると保障すること、さらに「戒厳令化」する2類認定のストップ・ルールを明確化することだ。国民が中心となり、技術官僚や専門家が暴走できない枠組み、つまりシビリアンコントロールの体制を整備しなければならない。
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