「子ども食堂行くな」の言葉に隠された母親の本意 「貧困対策」というラベリングが親子を遠ざける

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顔見知りの小学生から、突然「友だちが鉄棒から落ちて頭を打った」と連絡が入ったこともある。その子は助けを呼ぼうと、鉄棒から落ちた子のスマホを操作していて、登録者の中に毎朝あいさつしていた田中さんの顔を見つけたのだ。

食堂に出入りする子も、友だちに食堂のカードを配ったり、新しい子どもを連れて来てくれたりする。

「『あの子は朝ごはんを食べていない』『親の帰りが遅い』など、子どもの状況にいちばん詳しいのは子ども同士ですから、頼りにしています」

昨年11月からは、子どもカフェを朝9時から開き始めた。学校に居場所のない子が、朝から通える場をつくりたいという思いからだ。

田中さんは子ども食堂を「地域のこども部屋にしたい」という。

「子どもを大切にできない社会は成長できません。地域の子たちが安心して過ごせて、自分のやりたいことを見つけられる場でありたいと願っています」

にぎわうことで、「必要な子」も紛れられる

NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが2022年に実施したアンケート調査によると、子ども食堂運営者の困りごとで最も多いのが「必要な人に支援を届けること」で、全体の6割がこの悩みを抱えていた。行政の把握している困窮家庭の情報などは、個人情報保護の壁に阻まれ子ども食堂にはなかなか伝わらないためだ。

しかし、むすびえの湯浅誠理事長は「誰でも自由に出入りできるからこそ、支援を必要とする親子も、にぎわいに紛れて食堂を利用できる。『貧しい子の来る場』というラベリングをされると、本当に必要な人たちはむしろ来られなくなってしまいます」と説明する。

大人の中には、支援を必要とする子の分の食事を自分が食べてしまうのは申し訳ないと考え、来所を控える人もいる。しかし特段の事情を抱えていない大人には、1食につき数百円を支払ってもらう食堂も多く、こうした場合はむしろ、利用することが運営のサポートにつながる。

湯浅代表は「出入りする人が多いほど、必要な子も紛れやすくなる。食堂に行くことこそ、支援だと思ってほしい」と要望した。

有馬 知子 フリージャーナリスト

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ありま ともこ / Tomoko Arima

共同通信社を経て2018年独立。取材テーマはひきこもり、児童虐待、性暴力被害や多様な働き方など。

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