90年代VS令和「恋愛ドラマ」意外すぎる3つの違い ヒロイン像・恋敵の存在・仲間内での恋愛模様に見る差
正確な発語ができないもどかしさや、それを人に聞かれる恥ずかしさを捨ててでも、愛する紘子を引き止めるために、大声で彼女の名前を叫んだ晃次。当時は感動したという声があふれていたが……。
「よくよく考えてみたら、自分への愛の大きさを知りたがる欲求のためだけに、失聴者の恋人に発語を強要する紘子ってどうなんだろう……とジワジワ思うようになったんです(笑)」
と、ヒロインの主張が強めだったと指摘する。一方で『silent』のヒロイン・紬(川口春奈)は、
「目黒蓮さん演じる想にどんなにひどい振られ方をしても、再会時になじられても、まっすぐに向き合うことをやめないし、自分にできる努力はすべてする、とても心の強いヒロインです。ましてや、自分から想の声が聞きたいなどというワガママも言いません。
絶えずSNSで人とつながり、周りの目を気にする環境に置かれた令和の若者に、気配りスキルは重要です。人と正しい距離が取れて、気遣いのできる紬のような主人公はすごく“令和っぽい”なと思います」
1990年代と令和で違うヒロイン像
1990年代のヒロイン像として神無月さんはもう1人『ロングバケーション』(フジテレビ系)の南(山口智子)をあげる。
「山口智子さん演じる、花婿に逃げられた南が、木村拓哉さん演じる瀬名の部屋に、第1話で強引に転がり込みます。家もお金もないとはいえ、瀬名が花婿とルームメートであったため連絡を待ちたいからという理由だけで強引に見知らぬ男の部屋に居着く。
当時の好感度No1女優の山口智子さんだから許されましたが、ワガママの通し方が度を超えていた。常識よりも自分の欲望に忠実で、欲しい物をはっきり欲しい!と言えるヒロインが、魅力的に見える時代だったんだと思います」
脚本家が違うとはいえ、現代は「多少ワガママでガムシャラでも、恋愛にまっすぐなヒロイン」というのは、時代的に好まれないかも。