日本人は国債の投機で誰が損するかわかってない 海外ファンドが得る利益を負担するのは日本国民

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国債の価格が将来下がる(金利が上がる)と予想されれば、国債を売ることによって利益を上げようとする取引が増える。

国債をすでに持っている人がそれを売却するだけではない。保有していない国債を売ることもできる。これは、「空売り」という行為だ。

海外ファンドの日本国債投機

空売りとは、現時点において国債を借り、それを売却することだ。借りていた国債は、将来時点において返却する(正確に言うと、借りた額に、利子を加えただけの価値の国債を購入して返す)。

いま国債を売れば、いまの高い価格で売れる。借りていた国債を返すために、将来の価格で国債を買わなければならないが、その価格は、いまより安くなっている可能性が高い。目論見通りに国債価格が値下がりすれば、利益が得られる。

実際には、このような取引ではなく、国債の先物売りの契約をする。これは、将来のある時点において国債を売ることを、現時点において約束することだ。

これでなぜ利益を得られるのか?

それを理解するには、先物取引がどういうものかを理解する必要がある。

先物価格とは、将来時点で国債を売買する価格だ。それをいま決める。

ところで、現物価格と先物価格の間には、「現在の現物価格に(1+金利)を掛けたものが先物価格になる」(言い換えれば「現在の価格は、先物価格の割引現在値」)という関係が必ず成立している(これを「裁定条件」という)。

なぜか?

この関係が成り立たないと、裁定取引が生じて、必ず利益が得られるからだ。先物価格が上記の水準より高ければ、現時点で借金して国債を買い、先物売りする。将来時点で、売りを実行して借金を返せば、将来の国債の価格がどうなろうと、必ず利益を上げられる。逆なら、先物買いで利益を上げられる。だから、マーケットが均衡するためには、必ず裁定条件が成り立っていなければならない。

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