「5大変化」で日本人の旅行は2023年かなり変わる 主要観光地から自分が好きな場所へ行く時代に

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特にヨーロッパは鉄道網が発達しており、ハイブリッドな移動で数カ国を周遊することも容易にできます。また、自転車道の整備が世界の多くの大都市に行われており、シェアサイクルを利用すれば観光客も気軽に自転車移動が可能です。

サステナブルツーリズムは、観光事業者側の努力も必要ですが、最終的には旅行者のサステナブルへの意識があってはじめて実現するものです。そして継続的にその意識を持つためにも、個人の旅のスタイルに合わせた「自身が無理なく続けられるサステナブルな選択」を旅行に採り入れることが重要になってきています。

万人ウケの「インスタ映え」より熱狂的ファンのいる聖地

5. 聖地巡礼 〜旅先選びはSNSから映画やドラマへ回帰

コロナ禍で韓国ドラマにハマった人も多いのではないでしょうか(何を隠そう、筆者もその1人です)。自宅で多くの時間を過ごすことになった2020年から2021年にかけては、映画やドラマなどを見て”おうち時間”を楽しんだ方も多いはず。そこで見た映画やドラマの世界へ飛び込むことができる「聖地巡礼」は、今年の旅の新たなトレンドになりそうです。

エクスペディアグループの調査(2022年)によれば、世界の旅行者のうち66%が「映画やドラマで見た場所への旅行」を検討し、実際に39%がその旅行の予約をしています。さらに同調査では、旅先を決める際にネットフリックスやアマゾン・プライムビデオなどのストリーミングサービスから受ける影響が、家族や友人からのアドバイスとほぼ同等の影響を持ち、さらにはSNSの影響を上回ったことがわかっています。

つまりは、人々は情報があふれてしまったインスタグラムでの検索ではなく、人気の映像作品で見た光景から旅先を決める時代になったのです。実際に筆者も「梨泰院クラス」や「ヴィンチェンツォ」、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(いずれもネットフリックス)などの韓国ドラマを見て韓国旅行を熱望し、昨年9月に渡航しました。今はちょうど「エミリー、パリへ行く」(ネットフリックス)シーズン3を見終わったところで、パリへの旅行熱が異常に高まっています。

観光客を呼び込みたい自治体や観光スポットは、いかにして話題の映像作品に登場するかが、今後のカギになるかもしれません。

これら5つのトレンドが2023年の旅を牽引すると予想しますが、このトレンドからも見えてくるように、人々の旅の目的や旅に期待することが本当に多様化しています。コロナ禍前のように「話題のインスタ映えする観光地」へ一気に人が押し寄せる時代は終わりました。これからは「万人受けする観光地」よりも、「ニッチでも熱狂するファンがいて、多くの選択肢がある観光地」のほうが大きな需要を生むと思われます。

後編:プロ厳選!「2023年行きたい海外旅行先」ベスト8

東松 寛文 リーマントラベラー、休み方研究家

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とうまつ ひろふみ

神戸大学経営学部卒業。広告代理店で働くかたわら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」に。週末で人生を変えた休み方のスペシャリストとして「休み方研究家」としても活動。オーストラリア『ケアンズ&グレートバリアリーフ観光大使』、岐阜県『羽島市アンバサダー』。70カ国159都市に渡航。3カ月で世界一周を達成し『地球の歩き方』から旅のプロに選出。TV・新聞・雑誌などメディア出演・執筆多数。全国各地で講演も。著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』、『休み方改革』、『週末だけで70ヵ国159都市を旅したリーマントラベラーが教える 自分の時間の作り方』InstagramTwitter

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