台湾有事なら日本も軍事介入迫られる合意の意味 日米外務・防衛の閣僚会議「2プラス2」真の狙い
安保理が採択した一連の決議にイラクが従わなければ、加盟国に必要なあらゆる手段をとる権限を与える、という安保理決議を成立させるまで、アメリカがあらゆる外交努力を惜しまなかったのは、多国籍軍の軍事介入という形が国内世論対策上、不可欠だったからだ。日本がアメリカから自衛隊の中東派遣を執拗に求められたのも、パパ・ブッシュ政権にとって、とりわけ同盟国との共同軍事介入という形式が、国民と議会から湾岸戦争への支持を得るために必要だったからである。
当時のハビエル・ペレス・デ・クエヤル国連事務総長は、「われわれはこの戦争について、安保理のうち戦争をやっている米英仏3カ国が報告してくれることしか知らない。その安保理への報告も、ことが済んでから、2、3日後というのが普通である」「この戦争は国連とは何の関係もない戦争だった」と語っている。
予想していなかったフランス、ドイツの不参加
2001年の9・11テロ直後、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国はこぞってアメリカを支持し、史上初めてNATOの集団的自衛権の行使を決定した。これを根拠として、アメリカとイギリスを中心とする有志連合は、オサマ・ビン・ラディン率いるテロリスト組織アルカイダが本拠地としていたアフガニスタンへの爆撃を開始した。
ジョージ・W・ブッシュ(通称、「ブッシュ・ジュニア」)大統領は、アルカイダを支援するタリバン政権を打倒すると、西欧諸国が派遣した兵力だけでは秩序維持が到底できず、アメリカ軍の増派が必要なアフガニスタンを放り出して、イラク戦争計画に着手した。イラクのフセイン政権がアルカイダと協力関係にあるというのがその理由だったが、のちにアメリカ議会超党派の独立調査委員会は、ブッシュ・ジュニア政権の主張に「信頼できる証拠はない」と結論づけている。
ブッシュ・ジュニア政権は同盟国の軍事力を必要としていなかったが、対テロ戦争の大義を国内外に主張するためには参戦国が多いほうが望ましいと考えていた。しかしフランスは、湾岸戦争後のイラクに国連の「石油と食糧交換計画」を通じて10億ドルもの支援を行っていたことから、イラク戦争には断固反対、対イラク武力行使決議を安保理で採択するなら拒否権を行使すると明言。ドイツも国内の反戦世論を背景に、もし対イラク武力行使を容認する国連決議が出ても戦争に参加しないと表明する。これは、ブッシュ・ジュニア政権にとって予想外だった。
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