台湾有事なら日本も軍事介入迫られる合意の意味 日米外務・防衛の閣僚会議「2プラス2」真の狙い

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だがアメリカは、イギリス、イタリア、スペイン、ポルトガル、デンマークやNATO新加盟国のハンガリー、チェコ、ポーランド、NATO加盟を希望する中・東欧諸国、日本の支持を得て、NATOや国連の承認という国際的正当性なしに有志連合での戦争に踏み切る。日本は「非戦闘地域」に限定して自衛隊の派遣を行った。

2003年のイラク戦争開始後、イラク国民のみならず有志連合側も5000人弱の死者を出した。30名以上の犠牲者を出した中・東欧諸国は、撤退や部隊縮小を行う中でアメリカへの失望を強め、アメリカ主導のNATOよりも、ヨーロッパ諸国からなる欧州連合(EU)に安全保障上の役割を期待するようになっていく。

また、2004年にはスペインの首都マドリードで鉄道爆破テロが起こり、翌2005年にはイギリスの首都ロンドンで同時爆破テロが起きる。イラク戦争を支持した両国の政権はともに選挙で敗北し、アメリカでも2006年の中間選挙で政権与党の共和党は大敗、イラク戦争を主導した国防長官らは更迭される。

自衛隊が駐留した地域でも実際には散発的な戦闘が発生しており、派遣された約5600人の陸上自衛隊員のうち21人、約3600人の航空自衛隊員のうち8人が、幹部も含めて在職中に自殺した。

「イラク戦争症候群」のアメリカ

イラク戦争はベトナム戦争に続き、アメリカ人に軍事介入への忌避意識を再び植えつける結果となった。バラク・オバマ政権、ドナルド・トランプ政権ともアフガニスタンとイラクからのアメリカ軍撤退を公約に掲げ、オバマ政権で副大統領だったジョー・バイデン政権が2021年に実現させる。

トランプ前大統領が2016年のアメリカ大統領選挙で強調した、「アメリカはもはや世界の警察官にはならない」という主張は、アメリカ国民の多くの率直な気持ちを代弁している。

だが、2022年2月にはロシアがウクライナに全面侵攻、これまでの10カ月の戦闘を経て今後、攻撃を一層激化させると見られている。また、同年10月の中国共産党大会で、習近平総書記は「祖国の完全統一は必ず実現できる」と台湾統一の意志を強調。アメリカ軍部は、中国が台湾侵攻に必要な軍事能力を2027年までに獲得すると見積もっている。

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