東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #ウクライナ侵攻、危機の本質

ロシアの大規模攻勢を跳ね返すウクライナの自信 「全領土回復」で米欧との意思が一致、軍事支援強化へ

11分で読める
  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
2/5 PAGES
3/5 PAGES
4/5 PAGES

インフラや住宅を狙ったロシア軍のミサイル攻撃に悩まされているウクライナは、ロシア空軍の出撃拠点などへの攻撃は侵略を受けた主権国家として当然の反撃と捉えているためだ。この確約を得て、ゼレンスキー氏は帰国後、今後のロシア領内への攻撃の戦略を決めた。それは「道徳的高みに立って行う」というものだ。

つまり、国際法に違反して民間人を狙う攻撃を繰り返すロシア軍とは一線を画し、ウクライナ軍は民間人を狙わず、空軍基地など軍事施設に目標を限るということだ。今後、ウクライナ軍は自国製ドローンを使って、ミサイルを発射する爆撃機が配備されているロシアの空軍基地などを攻撃することになるだろう。この戦術をとっている限り、米欧や日本などのパートナー国家からの支持を得られるとみているようだ。

戦闘を2023年秋で終わらせたいウクライナ

ゼレンスキー政権はなぜ2023年春に大規模攻勢を準備していたのか。その理由は、現在の戦争状態を2023年秋以降は続けたくないと考えているからだ。その思いは米欧も同じだと軍事筋はいう。あまりに戦争の犠牲や負担が大きいからだ。

一方で、プーチン政権は戦場で窮地に追い込まれつつも、防御を固めて戦争の長期化を目指している。人口は1億4000万と4000万強のウクライナより多い。戦争を半ば膠着状態のまま引き延ばして、その中でウクライナの戦争疲れを待って戦局の好転をうかがう戦略だった。

このため、ロシア軍はドネツク州の拠点バフムトなど一部戦線で攻撃をかける一方で、残りの延べ1000キロメートル以上ある戦線では、塹壕戦を展開するなど防御態勢をひたすら続けていた。

ウクライナ軍は、このままでは戦争遂行上の「体力」が持たなくなる恐れもあるため、ひそかに大規模攻勢の計画を練っていた。その意味で塹壕から部隊がはい出すロシア軍からの攻勢は、むしろウクライナ側からすれば、渡りに船の展開といえる。

次ページが続きます:
【「全領土奪還」は可能か】

5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象