ロシアの大規模攻勢を跳ね返すウクライナの自信 「全領土回復」で米欧との意思が一致、軍事支援強化へ

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2022年6月以降、戦場での勝利がないまま、兵力のいたずらな損失が続いている。このような状況が今後も続けばプーチン政権への支持が落ち込み、政権内部で自らの権威も大きく揺らぐのは必至だ。ウクライナの軍事筋は、この危機感ゆえにプーチン氏が政権維持に向け、攻勢を決断したと話す。

ロシアの攻勢は、東部ドンバス地方(ドネツクとルガンスク両州)と南部ヘルソン州が想定されている。2022年9月の「部分的動員令」で集めた約30万人の動員兵のうち、隣国ベラルーシなどで訓練中だった20万人を一挙に前線に投入するとみられている。ロシアは今回の侵攻で正規軍などすでに約20万人を投入しており、兵力は計40万人規模になる計算だ。

これに対し、ウクライナ軍はこのロシア軍の攻勢がなくても2023年春には自ら大規模な地上戦を仕掛ける計画だった。そのため、ロシア側の動きは「好都合」と受け止めている。ウクライナ大統領府や国防省内では、これからのロシア軍との戦闘を「ラスト・バトル(最後の戦い)」と呼び意気込みをみせている。ラスト・バトルとは、この戦闘でロシア軍を決定的な敗北に追い込むという意味だ。

ロシアの大規模攻勢は「破れかぶれ」

ウクライナ側は、ロシア軍の大規模攻勢について「破れかぶれの作戦だ」と撃退に自信を示す。これまでロシア軍は、ウクライナ軍の火砲の場所を特定するために、動員兵にほとんど武器を持たせずに最前線におとりとして飛び出させるというお粗末な使い方が目立っていた。

今後の攻勢で動員兵が一転して強力な戦力になるとはウクライナ側もみていない。このため、ウクライナのレズニコフ国防相は、現状では正規軍を中心に約40万人規模といわれる自軍兵力について、追加動員で増強する必要は現段階ではないとしている。

これまでは軍事作戦の計画を事前に公表するのを避けてきたウクライナ軍最高幹部の中には、今回はメディアに向けて作戦計画を大胆に発信する者もいる。ブダノフ軍情報局長は2023年1月4日放送のアメリカABC放送との会見で、「(2023年)3月に戦闘は最も熱くなるだろう」と予告した。そのうえで自軍の攻勢を「ロシアに最終的な敗北を与えるものだ」と強調したほどだ。

この自信の背景にあるのが、今後の戦争方針をめぐって米欧と意思が一致していることだ。ウクライナ軍事筋はウクライナ軍の攻勢戦略に「アメリカも乗った」と指摘する。公表されてはいないが、具体的戦略・戦術について「2022年末から何度もアメリカとは打ち合わせを行った」と証言する。

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