一発でわかる「頭のいい人」の特徴的な話し方 「だから何?」と言われる人に欠けている視点

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なぜ数値化が難しいかと言うと、数値化には具体的にする覚悟が必要だからです。シンプルな例を申し上げるのであれば、あるビジネスパーソンが「来年の目標は今年以上に頑張ることです」と言ったとします。こちらは数値化されていませんよね。
一方、別のビジネスパーソンが「来年の目標は今年に対してプラス1億円の売り上げを達成することです」と言ったとします。こちらは数値化されていますよね。
この違いは、はっきりさせる、具体的にする覚悟があるかどうかです。なぜなら、「プラス1億円」と具体的にはっきり明言してしまうと、もし1億円を達成できなかったら「君は目標達成できなかったね」と評価されてしまいます。ビジネスパーソンにとってこれは恐怖です。
数字がなくても「引き算」をしている
しかし「とりあえず頑張ります」とだけ言って曖昧な状態にしておけば、未達成という評価をもらうことはおそらくありません。人間ですからこちらのほうを選んでしまう気持ちもよくわかります。
でも、やはりどちらのほうがビジネスパーソンとしてかっこいいか、成果を出す可能性が高いか、という視点で比較をすると、当然ですが数値化するほうということになります。この事例でお伝えしたいのは、やはりビジネスパーソンはどんなメンタリティでいるかがとても重要であり、それで成果は決まってしまうのだということです。
(数学的話し方トレーニング)

実はこの話の構成こそまさに引き算です。2人のビジネスパーソンを事例に、その差(つまり引き算の結果)が何なのかを表現し、そこに意味づけをしてメッセージにしています。このように私たちは、数字がなくても引き算をすることができ、それは話すという行為においてとても有効なときがあります。本書で提案している「数学的な話し方」の端的な例と言っていいでしょう。

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深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

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