金利が上昇すると、国債の金利も上昇します。国債は満期まで保有すればリスクがありません。いわゆるリスクフリーレートが上がると、株式市場でリスクをとって運用するよりも「国債で安全に運用したほうがよいのではないか」と考える人が増えて、株式市場から徐々に資金が流出します。その結果、株式市場全体に下げ圧力がかかることになります。アメリカのFRBが過去に金融引き締めを実施した時期を見ると、代表的な株価指数であるS&P500は10%弱ほど下落しています。これは、個別銘柄にとっても株価が大きく下落するリスクがあることを意味していますので、株式投資家にとっては要注意となる局面です。
中小型株崩壊、大型株優位の「逆業績相場」
金融引き締めの結果、企業活動や消費活動にブレーキがかかると、企業業績が悪化してきます。増収しても減益に陥ったり、減収減益の決算が目立つようになったりします。なかには債務超過になったり、信用不安に陥る企業も出てきます。これが「逆業績相場」です。リーマン・ショック直後の2008年~2009年の状態を思い出すとイメージしやすいでしょう。
企業によっては構造改革の実施に追い込まれ、人員整理などのリストラが必要になります。企業の倒産や大量解雇など、どこを見回しても暗い話ばかりが目立つようになります。そして、そのような状況を見て、中央銀行は金融緩和の検討を始めます。経済を下支えするため、金利の引き下げを検討するのです。
企業のファンダメンタルズは壊滅的な状態になっていますから、株式市場からは資金の流出が続きます。とくにリスクの高い中小型株から、投資家は資金を引き揚げる傾向があります。日本でも2006年1月のライブドア・ショックを機に中小型株の株価が崩壊しました。その後の3年間で、中小型の成長株で構成される東証マザーズ指数はマイナス90%を記録しました。まさに一面焼け野原の状態となりました。この時期は相対的に中小型株よりも大型株が優位になります。
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