金融相場は不景気の時期と重なる相場です。企業業績は低迷して世の中は暗い状態です。各国の中央銀行は経済を刺激して景気を回復させるため、金融緩和を行います。
具体的には政策金利を引き下げます。政策金利の引き下げだけでは十分な効果が得られないときには、中央銀行が国債などを買い入れてカネ余りの状態をつくり、景気を下支えしようとします。いわゆる量的緩和です。
金利の引き下げや量的緩和が行われると、企業は低金利でお金を借りて設備投資をするなど、将来の成長のための投資がしやすくなり、経済が活性化すると考えられます。同時に余ったお金が株式や不動産、仮想通貨などのリスク資産に流れ込みます。その結果、金融相場では株式市場全体が上昇しやすくなります。いわゆる「不景気の株高」が起こることにもなるのです。
直近では2020年のコロナ・ショックのときに、人の移動が制限されたため経済活動が甚大な打撃を受けました。企業の業績が急激に落ち込んだため、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は迅速に金利を引き下げ、量的緩和も行いました。政府も緊急経済対策を打ち出し、民間にお金を流したためお金がジャブジャブの状況になりました。
金融相場では株式市場全体が上がる傾向がありますが、とくにグロース株、つまり、将来高い成長が期待される高PERの銘柄が優位の展開となりやすくなります。コロナ・ショックの後は、SaaS(Software as a Service の略で、サースまたはサーズ)型ビジネスモデルの銘柄がもてはやされて大きく買われました。売上高が大きく伸びていて将来の高成長を期待されている一方で、まだ利益は出ていない状態のいわゆるキラキラ系の銘柄の株価が大きく値上がりしやすいのが金融相場の特徴です。
好業績銘柄が買われる「業績相場」
金融相場の次に来るのがこの業績相場です。中央銀行や政府の経済対策が効果を発揮し始めると、これまで赤字だった企業が黒字化したり、売上や利益が大幅に増加したりします。企業業績が改善して、それに伴って株価が上昇するのが業績相場です。
企業業績が回復すると、中央銀行はそれまで行っていた金融緩和の縮小を考える段階に移ります。いわゆるテーパリングと呼ばれるものです。この段階では、中央銀行の姿勢の変化に伴い、相場が不安定になりやすくなります。
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