日本で承認は20件だけ「AI医療機器」普及させる策 超高齢化社会に向け、さまざまなサービスも

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加齢に伴い患者数が増える、心房細動でも、検出をスピーディに行うAI医療機器の開発が進んでいます。

心房細動とは、心臓の心房が小刻みに震えて、血液を全身にうまく送り出せなくなる不整脈の一種のこと。血栓(血のかたまり)を形成しやすく、その血栓が脳の血管に運ばれて詰まると、脳梗塞を起こしてしまいます。

心房細動は長時間心電図検査などによる早期診断・治療により予防が可能となりますが、非専門医にとっては発見が難しく、心電図解析に多くの手間と時間を要する課題がありました。

カルディオインテリジェンス社が開発・販売する、長時間心電図解析ソフトウェア『SmartRobin AI シリーズ』では、心電図データをクラウド上にアップロードするだけで、24時間分の心電図波形を約5分で自動解析を行い、心房細動を特定します。

カルディオインテリジェンス社が開発・販売する、長時間心電図解析ソフトウェア『SmartRobin AI シリーズ』

また、波形データ上で心房細動を色分けして表示するため、非専門医でも一目で心房細動がわかる仕様になっています。すでに多数の医療機関に導入され、長時間心電図検査における課題解決、不整脈診断を補助しています。

AIで「早期胃がん」の診断も

また日本人男性で9人に1人、女性で19人に1人がかかる「胃がん」も、AIサービスの開発が急がれる分野です。弊社AIメディカルサービスでは、早期胃がんの診断を支援するAIを開発しています。

胃がんは初期の段階で発見できれば恩恵は大きく、90%以上の確率で完治できますが、進行してしまうと命に関わる事態となりかねない「絶対に見逃してはならない疾患」だといえます。また胃がんの早期発見は経験豊富なベテランの内視鏡医師でも困難な場合があります。

「早期胃がんの診断支援内視鏡AI」は、医師が胃がんの診断の可能性がある病変を見つけた際、内視鏡の画像をAIに読み込ませると、病変が腫瘍性(がんもしくは前がん病変)なのか、そうでないのかの確信度(簡単に言うとAIがどの程度そうだと思っているかを示す値)を表示してくれます。患者さんに対して、さらに精密な検査を行うかどうかなどの判断材料になります。

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