ソニー・ホンダ新EV「世界と戦える」と期待できる訳 プレゼンから見えてきたモビリティー戦略

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お披露目された試作車。ブランド名は「AFEELA(アフィーラ)」(写真:ブルームバーグ)
①ソフトウェアセントリックな先端技術とは何なのか?

ステージ上に登場したプロトタイプですが、水野CEOはこのクルマをベースに開発を進め、2026年春に北米市場でデリバリーできるところまでもっていくと意思表明しました。自動車の開発には一般的に4年ほどの期間がかかります。今から3年後に市場に投入される乗用車は性能としてはこのプロトタイプに近いものになるのはまず間違いないでしょう。

プレゼンテーションではソニー・ホンダのEVは3つの「A」でその特徴が語られるといいます。Autonomy(自律性)、Augmentation(拡張性)、Affinity(親和性)がそれです。

心臓部であるECUは超高性能

Autonomy(自律性)に関していえば、次世代EVのカギとなるのが自動運転技術です。アフィーラは自動運転レベル3の実現を視野にいれる方針のようです。そのために車体に45のセンサーを装備したうえで自動運転車の心臓部となるECU(電子制御ユニット)に、クアルコム製のSoC(System on a Chip)「Snapdragon」を採用することを発表しました。

ECUの計算性能は最大800TOPS、すなわち1秒間に800兆回の計算処理をこなすというものです。テスラが採用しているECUが144TOPSであることなどと比較すれば、現時点の市販乗用車の性能を大きく超えます。

ちなみに、コンピューターが人類の知能を超える「シンギュラリティ」を提唱したレイ・カーツワイルによれば、人間の脳の計算処理能力は10000TOPS前後ということです。800TOPSというのは、運転だけに限れば、運転中に人間の脳が処理している情報よりも多くの情報を処理できる性能なのかもしれません。

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