日本企業がエンジニアを"爆買い"の実態 そんなに買いまくって大丈夫?

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しかも、2015年問題に対応するためには時間がありません。理系学生を採用して育成期間を経て、戦力になるまで待つような時間はありません。そこで明日からでも仕事ができるエンジニアを採用する、と考える企業も多くなっています。

そこでそうした企業は、採用市場で転職エージェントに対して

「エンジニアの紹介は当社を優先してください。他社より手数料は弾むから」

と、従来であれば紹介した人材の年収に対して30%前後が普通の紹介手数料を、50%以上にアップする条件を提示する会社もあります。

採用バブルの後はどうなる?

こうした手法を取れば、いったんは人材を確保できるかもしれません。ただ、こうした取り組みは「いずれ」周辺企業に知れわたります。

《競合のD社がエージェントに支払う手数料を大幅に上げて、エンジニアを集めているらしい。当社も負けてはいられない》

と追随する企業が続々と登場。

「ならば当社は60%支払います。なので、優先的に紹介を頼みますよ」

と手数料がバブル化。この状態で喜ぶのはエージェントだけではないでしょうか?

ただ、ほかの手法がなかなか見当たらないのも事実。莫大な採用予算を計上して2015年対策に対応することになります。はたして、受託した開発は会社に収益をもたらすのでしょうか?

採用コストが増え、ついには、まとめてエンジニアを確保するためにシステム開発会社の買収に走る会社も登場。その買収コストが複数の会社との競合でオークション化して高額になることも、今は当たり前になりつつあるようです。

取材したシステム開発会社では、アジア圏でのオフショア開発を進めていましたが、エンジニアの確保が想定どおりにいかなかったので、「国内で開発拠点を確保する」ニアショアと呼ばれる委託方法を取るため、地方にあるシステム開発会社と業務提携。さらに関係を深めて資本参加して、1年後には子会社化しました。この会社の社長は

「国内でエンジニアを確保するための企業買収にかかる費用はけちらない」

と豪語していましたが、同様に考える経営者はかなりいるのではないでしょうか?

こうして確保したエンジニアで2015年問題に対処した後に、何が起きるか? 当然ながらピーク時の需要が続くわけではありません。その後に起こる人材の余剰状態を予測して、エンジニアの活躍できる仕事を新規で創造する必要があります。各社は目の前の仕事に追い回されるだけでなく、将来に向けての一手を考えて採用してほしいと願います。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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